ただし、時代なのか当局の目を気にしてなのか、「征服」という表現を使ってはいるものの、セックスそのものをうかがわせる表現はほとんどない。内容も表現も、かなり硬い部類の資料である。だが、「こうすれば異性を意のままにできる」手引書という内容なので、そこは推して知るべしといえようか。
この手の、男女関係に関する手引き、指南書がどれほどあるのかは不明だ。むしろ、戦前、大正や昭和に刊行された、結婚生活についての手引書は、ざっと見渡しただけでかなりの数、20点や30点はすぐに見つかる。内容を見ると、実際の性生活に関する記述も少なくない。その中から何か興味深いものが見つかったら、改めてご紹介するかもしれない。機会があれば。
(文=橋本玉泉)