彼女とはこの委員会で知り合い、準備を進めるうちに仲良くなった。しかし二人きりで喋ったことはなく、声をかけられたことに少し驚いた。
「もうすぐ本番だね」
「うん」
「うまくいくかな?」
「…」
サチコがいろいろと話しかけてきたが、何だかうまく返事ができない。このとき僕は自分の気持ちに気づいた。彼女のことが好きだと。
実は最初に見たときから、可愛いコだと思った。明るい笑顔にも引かれたし、何より人がイヤがるようなことを率先してやる姿勢に好感を持った。だから、僕も面倒くさいことを真面目にこなし、彼女の気を引こうとした。
「〇〇くんって大人だよね」
「え?」と聞き返すと、「だって、人がイヤがること一生懸命やってるんだもん」と言ってくれた。その言葉は素直に嬉しかった。