「ほどよいブス」(編集長)とのセックスをあれこれ描写したところで誰も得しないため割愛するが、まぁ退屈である。感情もなければテクもない駄セックス。三擦り半(みこすりはん)が永遠に感じられるほどだった。「普通のエロは云々」というわりに平均以下のファック。オナニーでもしている方が有意義なレベルだ。ふと、編集部の誰かが「サブカル系の女って何でセックスがつまらないんだろう?」と嘆いていたことを思い出した。そういう意味では、サキは正統派サブカル女だった。
ここまでやらせて原稿を書かせないのはあまりにも不憫。4千字程度を任せたところ、エロ本の原稿のハズが、どっかのサブカル誌のような眠たい与太のオンパレード。鬱陶しい自己主張ばかりで、読むほどにチンコが萎えた。結局、ファックの様子だけを残し、原稿は全面差替えた。オカズを提供することはエロ本の役目だが、執筆者のオナニーを促すための媒体ではない。
雑誌発売後、ページを見たサキは怒り狂って罵詈雑言を浴びせてきたが、サブカルクソ女の相手をしているほど暇ではない。しばらくして別のエロ本出版社の雑誌でサキを見かけたが、どれも原稿は編集者が書いていることが明らかだった。ハメ撮りまで可能な女のライターは貴重だが、エロの体当たり取材なんてものはネタに限りがある。編集者のネタが切れたころ、サキの姿はどの雑誌からも消えていた。結局、彼女は何がしたかったのか今振り返ってみてもさっぱり分からない。
(文=伊藤憲二)
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