これは現代でいえばDVそのものなわけだが、DV全盛の現代でも、似たような事例が起きることがある。
2010年（平成22年）8月20日の深夜0時頃、神奈川県のJR横浜線十日市場駅付近の路地や駅前ロータリーを、女性が乗る自転車のあとに続いて全裸の若い男が歩いているのを、帰宅途中の通行人らが目撃し通報。駆けつけた神奈川県警緑署の署員によって2人は現行犯逮捕された。
警察の調べにより、2人は緑区内に住む22歳の女と21歳の無職の男性とわかった。
2人は2009年9月頃にアルバイト先で知り合い、翌1月から同居するようになった。ところが、一緒に住むようになってからまったく働かないようになり、それが原因でしばしば口論になることがあったという。
その際男は、さすがに引け目を感じたのか、2人で住んでいるアパートについて「家賃くらいは払う」と女に約束したとのことだ。
だが、働いていないのに家賃が払えるわけがない。案の定、男はこの8月分のアパートの家賃を払えなかった。すると、これに女が激怒。事件当日の夜、駅近くで口論となり、頭に血が上った女は男に殴る蹴るの暴行を加えた。そして、「コイツはもっと懲らしめなければ」と、男に命じて全裸にさせると、自分が乗る自転車のあとからついてくるように言いつけたというのだ。
十日市場駅は、筆者の地元近くなのでよく知っているが、午前0時頃は駅前にはそれなり人通りがある。そこに、女が自転車で先導して、殴られて顔面がボコボコになった若い男が素っ裸で歩いてきたなら、目立つことこの上ない。勤め帰りの住民たちも、さぞ驚いたことだろう。
警察の取り調べに、2人は「バカなことをした」と反省しきりだったという。さらに男は「以前にも全裸にされられた」と話した。これには取り調べにあたった警察官も、「なぜそんなに女性の言うことを素直に聞くのか」と首を傾げたという。
（文＝橋本玉泉）