「いくらなの?」
「10ドルよ」
「えっ!!」
なんだその値段…。その辺のちょっとしたレストランで食べるのと変わらないじゃないか…。
予想外の安さに、ぼくは戸惑いを隠せなかった。
【エクアドルの首都・キト】
キトと聞いてすぐに場所が思いつく人はそう多くないだろう。キトは南米・エクアドルの首都だ。エクアドルは北のコロンビア、南のペルーに挟まれた小さな国。赤道直下にあるため暑そうなイメージをもっていたが、キトの標高は2,850mもあるため、天気が悪いと肌寒いくらいの気候だった。
ぼくはキトの旧市街が気に入っていた。世界遺産にも登録されているキトの旧市街には、保存状態の良い古い建築物が立ち並んでおり、ぶらぶら歩いているだけで落ち着いた。もっとも体調が悪かったぼくは、ゆっくり散歩する余裕もなかったのだが…。
【体調不良の中、置屋の調査へ】
旧市街を少し歩いた以外、ぼくは宿のベッドで横になっていた。長時間の移動続きで体調を崩していたからだ。
キトの滞在予定は2泊だけ。このままじゃ何もできないな…。
ベッドの上でぼんやり考えていると、ふと思い出した。
「キトには激安の風俗があるよ」
ニヤニヤしながらぼくにそう言ってきたのは、旅をはじめて6年も経つベテランバックパッカーだった。
海外風俗をテーマに旅しているぼくが、そんな熱い情報を逃すわけにいかない。妙な使命感にかられたぼくは、ベッドの上で情報収集することにした。
調べていてヒットしたのは、とある置屋。キトには数件の置屋があるが、評判が良さそうなのは一件だけだ。
汗ばんだ身体をシャワーで流し、ぼくはふらつきながら置屋調査に向かった。
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