安宿にいる日本人の多くは「バックパッカー」と呼ばれる貧乏旅行者だ。
見た目よりも機能性を重視した服装。
長期間放置してプリン状態になった髪。
ノーメイク。
旅人特有の軽いノリや会話。
あげればきりがないが、貧乏旅行者にはすぐにそれと分かる特徴がある。
そんな中、稀に安宿に似つかわしくない小綺麗な旅行者に出会うことがある。
今日はそんな女の子との話。
【場末の安宿で出会った訳あり風の人妻】
とある国の場末の安宿。
こんな娘が、なんでこんなところにいるんだろう…。
その女の子からはバックパッカー特有の雰囲気がまったく感じられなかった。
綺麗にカラーリングされた髪。
旅人っぽくない小綺麗な服装。
話を聞くと、どうも既婚者らしい。
ぼくよりも明らかに年下、20代だ。
なぜ安宿に人妻が一人で?
「特に予定は決めてないんですけど、語学学校に行こうかなと思ってるんですよね」
既婚者が予定も決めずに海外にきて、語学学校?
訳ありの匂いしかしない…。
その夜、宿に居合わせた他の旅行者も交えて一緒に飲むことになった。