待合室でそんなたわいないことを考えているうちに、筆者の順番となった。お相手となったのは、メイさん(仮名)。年齢は30歳で、花魁の格好でもかなりスレンダーな体型であることは分かった。ただ、花魁コスチュームというよりも、襦袢に近いものだったわけだが…。
まぁ、気の持ちようで、雰囲気は楽しめるし、何よりもメイさんがかなり美人だったので、それでヨシとしよう! としたのだが、ここで残念なことが。サービスはお風呂場でも行うので、そうなると全裸なのだ。
そんなこと、このお店がソープである時点で分かるじゃん、バカなの? と読者に叱られそうだが、「花魁・格安・ソープ」というキーワードの魔力によって、このタイミングまで頭の中から当たり前のことが抜け落ちていた。ということで、部屋に入って衣装を脱ぐその瞬間まで、しっかりとメイさんの花魁姿を目に焼き付ける筆者なのであった。
さてサービスだが、ショートコースなのでマットプレイはなかった。それでも、彼女の洗練された技術のおかげで、満足のいくものだった。局部へのサービスも全身リップも、触れ方や舐め方はとにかく丁寧で、かと思えば時折激しくもあり、お店のコンセプトに合わせるなら“わびさび”を感じる熟練の技といえた。このテクニックが1万円以下で堪能できるとは…とつくづく感じ入るのであった。
江戸時代であれば、今回の店の価格は、遊郭よりもランクの低い局見世(つぼねみせ)という女郎屋クラスになるハズだ。この局見世は、下級の女郎が相手にしてくれるところで、現在の価値に直すと6000円から9000円程度だったという。
これが、吉原の遊女の最高ランク“太夫”と呼ばれる花魁と遊ぶとなると、1回の値段は現在の15万円に相当した。まさに高級ソープランド並みである。しかも、太夫とコトに至るまでに最低でも3回は通わなくてはならない。つまり、50万円近くをつぎ込まなくてはならないのだ。さらには、何度通っても、かなりのお金を使っても拒まれることがあるのだから、報われないにもほどがある。
そう考えれば、いまは実にいい時代だ。激安価格で花魁遊び(疑似)ができるのだから。江戸時代の人が平成の世の風俗なんて想像しようがないわけだが、遠く未来の人は現代の風俗をどういう風にとらえるのだろう…なんてことを考えながら店を後にした。
(文=子門仁)