■5位:フィロソフィーのダンス「アイドル・フィロソフィー」
フィロソフィーのダンスのファースト・アルバム「FUNKY BUT CHIC」の冒頭を飾る楽曲が「アイドル・フィロソフィー」。そのイントロで、メンバーのコーラスが迫ってくるかのように響きだした瞬間には衝撃を受けた。十束おとは、佐藤まりあ、奥津マリリとヴォーカルが交代していき、サビで日向ハルが圧倒的な声量のヴォーカルを聴かせるカタルシスは強烈だ。ソウルフル、といまさら書くのも無粋な気がしてくる。
作編曲は宮野弦士で、サウンドには1980年代ロックを連想させるキーボードやエレキ・ギターも。ヤマモトショウ(SOROR/うそつき・トマト/元ふぇのたす)が作詞した歌詞では、フィロソフィーのダンスにとってのテーマである「哲学」とアイドルとの関係性についても描かれてる。アルバムでちょっと謎解きがされたかのような気分だ。
「アイドル・フィロソフィー」のMVはないので、アルバムにも収録されている「オール・ウィー・ニード・イズ・ラブストーリー」のMVを貼っておく。
■6位:ヒラノノゾミ from BILLIE IDLE(R)「“どうせ消えてしまう命なら…” feat.ファーストサマーウイカ、カミヤサキ、テンテンコ、ミチバヤシリオ」
私は「BiS的なるもの」の呪縛も強い。その呪縛への反発ゆえに、この楽曲のMVが公開されたとき「やりすぎだろ……」としばらく見なかったことを思い出す。
とはいえ、BiSのサウンド・プロデューサーである松隈ケンタ作曲だ。聴いてみたところ、後半のサビの後には合唱パートまであり、「こんなことBiSでもやらなかったじゃん!?」と驚いたものだ。最初のサビを歌っているのがミチバヤシリオというのもわけがわからない。思い切りが良すぎる。
この楽曲はBILLIE IDLE(R)のメンバーのソロ曲集「“4 in 1” THE OFFICIAL BOOTLEG」に収録されていたもの。現在はBILLIE IDLE(R)のメンバーによってライヴで歌われており、そちらはBiSのノスタルジーから解放された現在進行形のヴァージョンとなっている。
■7位:欅坂46「サイレントマジョリティー」
様式美を突き詰めた果ての過剰な美しさ。それは特に衣装、ダンスに顕著だ。その様式美の結果、衣装がナチスを連想させる事件も起きた。
「サイレントマジョリティー」は不思議な楽曲だ。バグベアが作曲、久下真音が編曲したこの楽曲は、なぜ軽くフラメンコ風なのだろう?
そして、全体のイメージを貫くのはあくまで秋元康の歌詞だ。2016年に彼を再評価することになるとは思っていなかったが、若者をめぐる政治的な状況を歌詞に投影させつつ、過剰にポリティカルになりすぎない匙加減はさすがである。悪い大人だ、と思うほどに。
この楽曲が、2016年に若年層へリーチするもっとも有効な表現のひとつであったことも忘れるべきではないだろう。
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