その理由のひとつめには、お客様のフェザータッチは肌からの距離が安定しない、ということです。使い慣れない技を聞きかじりの情報でやってみようとするので、高確率で肌と手の距離が安定せずプルプル震えるか、そこまででなくとも圧力にムラのある触り方になってしまいます。
ふたつめには動きがゆっくり過ぎるというのもあるのですが、それぞれ単品では我慢できるレベルの不快感がふたつ合わさることで、得も謂れぬザラザラ・ゾワゾワ感になるのです。これがすごく嫌い! 慣れないうちは私が個人的に苦手なだけで世の女性はこれが気持ちいいのかと思っていたのが、風俗店の女の子たちと話をするにつれ、実はみんなこの触り方好きじゃないよねという残念な事実が見えてきたのです。
もちろん、誰がやっても不快ということではありません。世の中にはそれはそれは上手に触るお客様もいらっしゃいますし、例えそこまで上手くなくても、好きな人に触れてもらえる時にはやはり気持ちよく感じるものです。要するに、
通りすがりのお客様で感じるにはこちらの愛が足りず、お客様の技術も足りないんですよねえ。
というわけで、「素人のフェザータッチは実はそんなに気持ち良くない」という啓蒙をすると見えてくるみっつめには、これだけ繰り返し言われているのだからフェザータッチは絶対に気持ちいいと殿方が信じて疑わないということです。この「フェザータッチ信仰」と言っても過言ではないようなマニュアル愛読者の皆様は、それじゃあ気持ち良くないよという事実を示しても頑として認めないので困ってしまうのです。
例えば、フェザータッチを多用するお客様のテクニックが正直不快な時、プレイの後のトークタイムにでも「ゾワゾワしちゃって、ちょっと苦手なんだよね」とこぼしたとします。そんな時、殿方は十中八九「そのゾワゾワするのが気持ちいいんじゃないの?」と言います。だから、苦手なんだってば。
そこで、「うーん。例えば、こういう風なのって男の人も好きなの?」とかなんとか、私からも同じことをしてみせることもあります。無論プロの技ではなく、お客様の技を真似たダウングレード版です。すると「俺は別に感じないけどさ、だって男と女じゃ違うじゃん? 女の子はこれが気持ちいいんでしょう?」と来るのが定石です。我ら人類、ホモ・サピエンス。男女間における皮膚の厚みの差など微々たるものですよ。
下手をすると、「本当は気持ちいいのに、恥ずかしいから/悔しいから感じていないフリをしている」と解釈されることもあります。いや、だ・か・ら、苦手なんだってば。
それでも否定すると、ようやく諦めて「女の子は基本的にこの技で泣いて喜ぶけど、まおみちゃんはたまたま/不感症なので/未開発なのでフェザータッチが嫌い」という解釈になるのです。なんてこった。ここまでポジティブだと、さぞかし楽しく生きていけるだろうと感心しちゃいます。
無理してテクニックを披露しようとしてお互いに無理するよりも、もっと無理せず優しく気持ちいいことした方がずっとよくないですか?
そこで私、考えました。素人さんでも簡単にできる、より気持ちのいい触り方はないかなと。そして、自分で触ってみたりお客様に触っていただいたり女の子を撫で回したり、いろいろと試してみた結果、ついに結論が出たんです。