【そそくさと服を着て部屋を出る】
終わって一息つくと、彼女はさっさと服を着て部屋を出て行こうとした。
JOJO「ちょっと待ってよ! もう行くの? なにか嫌だった?」
彼女が気に入らないなにかをしてしまったのか、ぼくは心配だった。
出て行こうとする彼女を引き止めて抱き寄せた。
JOJO「なんでそんなに急いで出てくの? もうちょっと一緒にいようよ? ね?」
そう言って、彼女をベッドに引き戻して腕まくらをした。
彼女「…それは義務的にやってるの?」
JOJO「したいと思ったからしてるんだよ」
彼女「…」
JOJO「なんですぐに出てこうとするの?」
彼女「…だって、今好きになられたって困るでしょ?」
彼女なりに距離感と感情をコントロールしようとした結果の行動だったようだ。
JOJO「別に困らないよ」
そう言って彼女をまた抱きしめ、キスをした。
その気持ちにどう答えるかは別として、好きになられること自体が困る訳ではない。
余程のことがない限り、ぼくは女性に対して常に真摯に紳士に対応するようにしている。もちろん、例外だってたくさんあるけれど…。
お互い旅人の身だ。一時の遊びだということは理解している。
それでも、ぼくと過ごした最後の時間まで楽しかったと思ってもらいたい。
この時もそう考えていた。
しばらくしてお互いの部屋に戻り、その日は眠りについた。
そして翌日。夕方になると観光から戻ってきた旅行者が集まり、皆で自炊して夕食をとって前日と同じように飲み始めた。