遊郭取材はボウズに終わってしまったが、そのまま帰るわけにも行かず、豊橋駅近くにある現代の歓楽街・松葉小路付近をブラついてみることにした。この路地には門扉もなく、一直線で、どちらからも出入りできるようになっている。
しばらく歩いていると、狙い通りネタが食いついて来た。
「遊びですか?」
そう声をかけて来たのは、ビルの軒先に立つ細身のオバちゃんだった。
「ピンサロ?」
「ううん、1万円で本番。ハタチのコと30代のコがいるけど、どっちがいいですか?」
そんなの当然、若い方がいいに決まっている。しかし、落とし穴があるのかもしれない。デブとか…。
「スタイルはどう?」
「ふたりともスマートですよ」
それなら完全に若い方である。が、さらに落とし穴(顔)の確認を。
「若いコはすっごいブスとか?(笑)」
「ううん、浅田真央ちゃんみたいなかわいいコ」
…これで三十路を選べば、確実に人妻好きの烙印を押されることになる。もちろんハタチのコでお願いすると、案内されたのは地下にある店だった。
「なるほど…」
まさか、逃亡を図る女のコを逃がさないため地下に店を構えたとは思わないが、誘われなければ客は入って来ることはなさそうな店に違いない。
「ひょっとすると女のコじゃなくて、客が逃げないようにするためか?」
そう考えずにはいられなかった。が、現れた女のコは本当に浅田真央とバカ殿を足して二で割った感じのコで、普通に本サロプレイを楽しんで帰ることができた。
歴史ある街には、今もその名残りがある。もう一カ所の方は次回のお楽しみである。
(写真・文=松本雷太)