「貞操蹂躙だ!」 とんでもない手口で慰謝料を騙し取ろうとした結婚詐欺の女

※画像:昭和8年7月23日『大阪朝日新聞』より

 
 男性は訴えを起こした女性とは、実は以前から婚約がすでに成立していたらしい。しかしその後、女性のほうから「自由行動をとる」と宣言された。つまり、事実上の婚約破棄である。これを受けて男性は「不縁とあきらめ」たために、10月に求人広告を出して、他の女性と手紙で交渉していた。

 ところが、自由行動をとると宣言したはずの女性が舞い戻ってきて結婚を迫ったために、10月末に式を挙げた。すると女性は、それから3日から5日ごとに数日ほど実家に帰るような行動を繰り返すようになり、11月末頃にはまったく実家から帰ってこなくなった。

 これで、今度こそ絶縁と思った男性は、12月に再度の求人広告を出して応募してきた女性とやり取りしていたところ、またしても実家に帰ったはずの女性が舞い戻ってきたというわけである。

 しかも、さらにその後の調べで、10月と12月に広告に応募してきた女性というのが、実は同一人物であった。その女性というのは、ある銀行に勤めるタイピストで、何と男性と挙式した女性の友人であり、先の女性から頼まれて偽名を使って求婚広告に応募していたことが判明した。

 つまり、女性はあらかじめ友人女性と共謀して、男性から慰謝料をふんだくるつもりでことを計画したことが明らかとなった。

 この件について、大阪区裁判所民事四部は、女性の訴えを「貞操権を乱用するもの」として退ける判決を言い渡した。

 結婚というものは人生の一大事であることは、今も昔も変わっていないだろう。だが、世の中が便利になればその便利さを結婚にも活用するケースが増えてくるのは、これまた以前も現在も変わらないようだ。

 インターネットという便利至極なツールが普及した現在、さらにトラブルが増加するのではと危惧するばかりである。
(文=橋本玉泉)

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