流行り廃りが激しいAV業界にあって、一貫して性愛をテーマにした濃密なドラマで昭和のエロスを追及し続けるヘンリー塚本監督。自身が立ち上げたFAプロは昨年、創立30周年を迎えたが、御年73歳の今も創作意欲は衰えを知らず、エネルギッシュに良質な作品を世に送り出している。
そんなヘンリー塚本監督の世界を存分に堪能できるのが、毎年恒例の『昭和三部作』シリーズだ。本作は膨大なヘンリー塚本作品の中から名場面を厳選して収録した総集編で、第7弾となる2016年度版が7月25日に3本同時リリースされた。
本作の発売を記念してヘンリー塚本監督に独占インタビューを敢行、他の追随を許さない独自の世界観はどのようにして生まれるのか、創作の秘密に迫った。
――2016年度版の『昭和三部作』シリーズをすべて観させていただきましたが、まず収録されているAV女優の数に圧倒されました。『女たちの昭和 好き者女たちの生きとし生ける日々…/女は卑しきもの、されど女体は愛おしき』がFAプロ初の専属女優・一条綺美香を含む16名、『女たちの昭和 嫁と娘とお姉ちゃん/男の慰みの為に女の肉体は美しき』が20名、『女たちの昭和 男はたくましく女はイヤラシかった/女は美し・いやらし・色っぽし』が20名と、3本で計56名が登場します。何より驚いたのは、それぞれ世代も年齢もタイプも異なるのに、どのAV女優も昭和の女に成り切って濃厚なエロスを放っていたことです。監督はAV女優を面接する際に何を重要視しているんですか。
「まず頭の良い子。AV女優の中にはアッパッパーで、ただヤルことしか考えてない子がいますけど、私の作品はドラマですので演技ができないと駄目。頭の良さというのは、勉強ができるできないじゃなくて、呑み込みが良くて、私の言うことをパッと理解できる子。それは面接の時に二言三言会話するだけで分かりますね。中身のない女性はドラマに深みを与えられないんです」
――演技力も大切ですか。
「大半は素人ですから、高い演技力は求めていません。“いかに昭和の女にするか”は私の技量であり監督としての役目ですから、そこは私のテクニックでもあるんだけど、現場で熱い思いを持って、丁寧にセリフの喋り方や演技を教えるんです。そもそも面接で私やスタッフの質問に対して、ちゃんと答えられた子は、現場でも迷うことなく演じてくれますね」
――容姿や雰囲気で注目する点はどこですか。
「肌がキレイであることは大切です。たとえば襟元から見える首筋の白さとか。あとベロを出してもらってキレイにしてあるか。それと清潔感。たとえ七十代であっても抱いてみたいなって思わせる女優さんは清潔感と色気があります。私がそういう思いを抱く女性は、他の男性もそうだろうなと思うし、自分が抱いてみたいなって思わせる女優さんじゃないと、現場でカメラを構えていても感情移入できないんですよね」
――ロリ系から熟女まで幅広い年齢のAV女優を起用していますが、色気に年齢は関係ないですか。
「ないですね。若くても私の思う色気を漂わせる女優さんはいっぱいいるし、色気がなくても裸にして清潔感のある女体であれば十分にエロスは醸し出せます」
――面接時に注目する女性のパーツはありますか。
「私は面接の時に女の子を椅子に座らせて、スカートをめくってもらって太ももの色気を見るんです。今の女の子たちはスリムになってしまって太ももの色気がないんですよね。だから見事な太ももだと文句なしに出演をお願いする。太ももの色気って男にとって大切だと思うんですよ。スカートをめくったら触りたくなるじゃないですか。たとえ昭和のひもじい時代でも、女は太ももが見事だったんですよ」