約束の19時ジャストに現れたのは、佐藤宏美ちゃんという清楚な佇まいの24歳の女のコだった。もちろん仮名だが、このお店に在籍している女のコの源氏名は苗字付きのフルネームになっている。これは、客が電話予約する際、周囲に人がいた場合は「宏美ちゃんで…」と伝えづらいことを考慮した心づかいだ。
そこまで設定がしっかりしているので、出会ったときは「佐藤さん」と呼びそうになった。そんな気持ちを察したのか、「ふたりの時はヒロって呼んでね」と宏美ちゃん。さらに、「本当はもう少し早く来たかったけど、サービス残業をさせられちゃって…」とまで言うのだからタマらない。
このようなシチュエーションは初めてで、どんなリアクションをしていいのか分からない自分がいた。思わず「ご苦労様です」と口走っていて、宏美ちゃんに笑われてしまった。
待ち合わせ場所からホテルまで手をつないで歩いた。途中、歌舞伎町の飲食店のショーウインドウを見て、「これ、美味しそうだね!」と微笑む宏美…いや、ヒロちゃん。なんだか本当のデートのような気分になってきた。
デートであれば食事からホテルという流れなのだろうが、もちろん風俗だからホテルに直行する。ただ、ホテル街を女のコと手をつないで歩いた経験があまりない筆者には、それすらもプレイのように思えてきた。
ホテルの部屋選びにしても、「どの部屋にする?」「この部屋、お風呂が広くて良さそう」といった他愛ない会話に感動した。まさにデートである。
部屋に入り、ヒロちゃんがスーツを脱ぐ。タイトスカートを下ろす仕草は、いかにもOLという感じだった。思えば、この時点が興奮のピークだったのかもしれない。
シャワーを浴びたら、あとは通常のデリバリーヘルスとなんら変わらない展開…。もちろんヒロちゃんのテクニックは言うことナシで、満足度も高かったが…。
いわゆる普通のデートの経験値が低い人にとっては“憧れのプレイ”なのだが、サラリーマンなどの会社員にとっては、日常と地続きの“生々しいプレイ”ということになるのかもしれない。
(文=子門仁)