ちなみに、この時の仕事は契約を交わすだけで済み、作業としては小一時間で終わってしまうものだった。せっかくバンコクまで来たこともあり、有給休暇を取って4日ほどバカンスで滞在することにしていた。そのため、スーツケースの中にはラフな服装しか入っていなかった。
早々に仕事を片づけた私は、スーツを脱ぎ捨て、Tシャツに短パン、そしてゴム草履というスタイルでバンコクの街へ繰り出した。
ゴム草履である理由は、バンコクの湿気を考えると、スニーカーでも快適だとは言い難いからだ。また、少しでもいい靴を履いていると、“足元を見る”という言葉通りに値段をふっかけられたり、ボッタクリの被害に遭う確率が高くなる。さらに物騒な国になると、靴を狙った強盗がいたりもする。
さて、バンコクで女性と“瞬間的な関係”になるのであれば、ステージで踊っている女のコを指名してお持ち帰りができる『ゴーゴーバー』が一番手っ取り早い。ただ、ニューハーフが混ざっていることもあるので要注意だが…。
“風俗感”を満喫したい人には『マッサージパーラー』がオススメだ。これはいわゆるソープランドで、バンコクには数軒あって、1万円以下で楽しめる店が多い。ということで、バンコク初日は、ニューペップリー通りにある『V』というマッサージパーラーに入ることにした。金額は5千円程度で、それなりに可愛い女のコと楽しむことができた。
2日目は、日本人が多数宿泊する宿で知り合った男から「良いマッサージパーラーがある」と誘われ、一緒に行くことにした。なんでも、日本語が通じるので割引き交渉がしやすいのだという。その男も仕事でバンコクを訪れていて、チノパンにポロシャツ、ローファーというスタイルだった。
彼に連れていかれたのは、前日に私が訪れた店の近所で、実は入ろうか迷った店であった。躊躇した理由は、店の前にいた客引きがやたらと日本語を操って誘ってきたからで、なんとなくぼったくりの気配を感じたからだった。
同行した彼も最初は警戒したそうだが、「店長はさらに日本語が堪能で、やりとりが日本の店と変わらないのでラクです」とのことだった。たしかに、その50代くらいの店長は、日本語が堪能だった。同行した彼のポロシャツを「チョベリグ!」と褒めるのには苦笑いするしかなかったが…。
店の待合室のような場所にはステージがあった。そこに15人ほどの女のコが上がり、その中から選ぶシステムだ。同行した彼は早々に女のコを決め、奥のプレイルームへと消えていった。
私の場合はそうはいかず、お気に入りの女のコを指名するたびに店長が、「いや、あっちのコの方がいい」とほかの女のコを推してくる。正直、そのコは地味なタイプで、私は興味が持てなかった。それならばと、いかにもタイの娼婦といった感じの派手な女のコを指名した。