そこには50人以上の美女が並んでいて、それぞれが猛烈にアピールしてきた。驚いたことに、多くの女のコが「こんばんは、ユキと申します」とか、「母が六本木で働いてました。日本語はOKです!」と、よどみのない日本語であった。
気が付けば、私の前には10人ほどの女性が並んでいた。とにかく、彼女たちは必死で、そこに逞しさを感じた。しかし、「社長!」コールはさすがに気恥ずかしいものでしかなかった(笑)。
この行列の中に、ひとりモジモジして、なかなかアピールをしてこない女のコがいた。私は気になってしまい、そのコに理由を聞くと、「ワタシ、ニホンゴ、ヘタデ、アナタニフサワシクナイ」と、たどたどしい日本語で答えた。
彼女はシーラと名乗った。21歳だという。このような場所で働かなくてはならない理由は、いろいろ想像できた。もしかしたら、自分の意に反して働いているのではないか? と考えれば、急に彼女が健気に思えてきた。そう思った私は彼女を指名することにした。
緊張気味に「アザトウゴザマス(ありがとうございます)」と頭を下げるシーラ。私が彼女を指名した瞬間、他の女性の表情が一変して、興ざめた空気が流れた。先ほどまで「社長!」と寄り添ってきていたことがウソのように彼女たちは去っていった。
そんなことを気にせずに、私は彼女を宿泊先のホテルに呼んで、熱い一夜をスタートさせた。
シーラは「一緒に…」とシャワーを浴び、身体を洗ってくれた。それは日本の風俗店で受けるようなサービスで、“痒い所に手が届く”ものであった。もしかしたら、日本人が相手になることを前提とした講習のようなものがあるのかもしれないと思った。
ただ、キスには応じるものの、全身リップ的なことには戸惑っている様子だった。まだ慣れていないのだろうと思い、一生懸命なまなざしに感じ入った私は、チップを弾むことを約束した。すると、意を決したようにシーラは舐め始めた。
テクニックは正直なところイマイチだったが、「キモチイイデスカ?」「ワタシ、キモチイイ」と、一生懸命さが伝わってくるサービスには感動した。そして、不覚にも涙が出てしまった。
それは、一生懸命に日本語を操ってサービスしてくる彼女と、それを受けていることに少なからず罪悪感を抱いてしまったからだった。
その後、シーラが上になり、騎乗位でぎこちなく腰を動かしてきた。さらに私は、上半身を起こし、正面座位の形になって抱き合いながら頂点に達した。まるで、本当の恋人のようだと思った…。シーラはとにかく一生懸命で、尽くしてもらった。それは、感動的ですらあった。
部屋を出て行く際にも、「ニホンゴ、ヘタデスミマセン」と謝ってくるシーラ。その姿勢が愛おしく、ハグをしてチップもかなり弾んでしまった。そこでようやく緊張感から解放されたのか、彼女は初めて笑みを見せた。
そして、この忘れられない夜から半年後、私は再び仕事でマニラを訪れた。もちろん、シーラに再会するつもりだった。