昼のみならず夜までも、人目を避けて2人きりで密室でなどというと、あらぬ想像をしてしまいがちであるが、年齢からして文字通り「語りつつ」という程度の交際だったのであろう。確証はないが…。
ともかく、親密になった2人の少年少女は、よほど感情が高まったのか、あるいは何かを思い立ったのか、ついにその朝10時頃、手に手をとって家を抜け出した。
しかし、行くあてがあるわけでもなく、そもそもまだ7歳と8歳の子供である。結局、疲れて神社の大樹の下で眠ってしまったという次第であった。
その後、2人は警官に説得され、連絡を受けて現れた少女の母親に引き渡された。
少女の自宅の机の引き出しには、一通の遺書が残されていた。そこには、少年と一緒に出て行くとの旨が記され、「もしこのまま帰宅しない時は、病死したとあきらめて下さい」と書き付けられていた。
幼い子供にそこまで書かせるほど、どういう事情があったのかは不明だ。だが、これを昔のことだと一蹴することはできるだろうか。21世紀になった現代でも、未成年者や若年層が、無理解や偏見から追い詰められる状況は、何も変わっていないからである。
ちなみに、秋葉神社は全国各地にある神社で、都内ではほかにも台東区内の台東4丁目や松が谷3丁目、新宿区の矢来町などにも秋葉神社がある。このうち、松が谷にあるものは秋葉原の地名の由来になったとされている。
(文=橋本玉泉)