先日、ある取材で埼玉県の西川口を訪れた。西川口といえば、『NK流』と呼ばれる“ご当地サービス”を思い浮かべる人も多いだろう。1990年代後半に大流行したスタイルで、表向きはヘルスやサロンといったテイだが、プレイでは究極のサービスが暗黙の了解となっていた。
その結果、県外からも多くの客が訪れ、夜な夜な賑わっていたものである。筆者も何度か経験している。それは『個室サロン』と書かれていた店で、その個室の広さは二畳程度のものだったと思う。そこでは噂通りのサービスを受けた。
当時、そういった店を見つけるのは簡単で、店が看板を掲げて営業をしていたし、客引きもいた。そして、風俗情報誌に広告が掲載されてもいたのだ。今にして思えば、堂々と営業している“ちょんの間”といった感じだった。
しかし、それも昔の話で、2005年の一斉摘発でNK流の店は一気に消えてしまった。以降、西川口には合法で営業していたソープランドや店舗型風俗店が残り、健全な夜の街へ…と認識していた。つまり、かつて隆盛を極めたNK流は、歴史の遺産でしかないと思っていたわけだ。
取材が終わり、夕飯時だったので手頃な飲食店を探していると、土地勘がないこともあり、気付けば何度か同じ道を歩いてしまった。すると、「探してんの?」と背後から中年男性に声をかけられた。