72歳の“昭和系”AV監督が送る、トラディッショナルAV論!
年末より開始された僕、ヘンリー塚本のこのコラムも、今月でいったん終了となります。最後にご紹介する我がFAプロ30周年記念作品のテーマは、「熟女」。世にある熟女作品には20代、30代の若い女優さんが出ているものもありますが、今回は40代以上の“本物の”熟女にこだわりました。
実は、僕には熟女に関する強烈な記憶があります。時は1960年前後、真面目な少年だった高校生の僕はある日、不良に憧れ夜の新宿をほっつき歩いていました。終電車も見送ってしまい深夜喫茶に入った僕に、ある女性が声をかけてきます。年の頃は50歳前後でしょうか、お世辞にもきれいとは言いがたい、まさしく熟女。僕は、近くの連れ込み旅館に連れて行かれた。宿賃は3000円。つばの臭いがする汚らしくてねちっこい接吻をされました。朝になると彼女は、電車賃といって1700円をくれました。彼女と別れてから僕は、水道で口をすすぎました。僕はこの体験を、犯罪のように感じました。翌日は高校の運動会でした。僕は友人に、「俺はもう二度と結婚できない男になってしまったんだ」と言いました。これが、僕の童貞喪失体験。以後僕は、ベロと熟女にとらわれた人生を送り、いまに至るというわけです。
僕が考える熟女の魅力というのは、女だけが知るめくるめく官能的な姿が描けることにあります。もちろん女性器そのものは、10代20代のほうが美しい。30代も綺麗でしょう。でも、40を越えると黒ずんで、どどめ色になっていく。花開いたときは美しい赤貝ですが、しぼんでくると真っ黒なあわび。でも、そこに僕は味わい深い卑猥なエロスを感じます。しかも子どもを産んだ女性は、女性器に柔軟性が出てくる。ぐっと締め付けてくる若い女性器よりも、ほんわかと優しく包み込んでくる生殖器のほうにこそ、僕はずっとオルガスムスを感じる。熟女の女性器には、若い人にはない女の歴史、快楽があるんです。