だが、今作は明らかに「脱・アイドル女優」といえる演技。可愛さや若さだけをウリにせず、実力で勝負していこうという意気込みが感じられ、それに見合うだけの実力を見せつけている。
広瀬といえば、昨年出演したバラエティー番組で「なんで(音声さんは)自分の人生を女優さんの声を録ることに懸けてるんだろう」などとスタッフを軽視する発言をしたことで大炎上。ネット上で大バッシングが発生し、一時は何をやってもアンチに叩かれる状態になってしまった。
しかし、今作の好演にはアンチも沈黙。実力でバッシングを払拭してしまったといえる。
「バッシングの最大の要因となったのは『実力もないのに可愛いだけでチヤホヤされてる小娘が一生懸命働いてる大人をバカにした』という世間のイメージ。当時は完全にアイドル女優の扱いだったので、無邪気な発言が生意気に映ってしまったわけです。しかし、実力があることを世間に認めさせればイメージが変わり、自然とアンチは減っていくはず。本人の飛躍にもつながりますし、一石二鳥といえるでしょう」(芸能関係者)
広瀬は今年も数多くの大きな仕事を抱えており、かるたを題材にした異色の少女コミックを実写化する『ちはやふる』(小泉徳宏監督)の前・後編、渡辺謙(56)ら日本映画界を代表するオールスターキャストが集結する『怒り』(李相日監督)、クラシック音楽を題材にした人気青春マンガの実写化『四月は君の嘘』(新城毅彦監督)と4本の大作映画に出演が決定。
特に『悪人』『許されざる者』など問題作を手掛けてきた李監督の『怒り』は、広瀬が完全にアイドル女優の殻を脱ぎ捨てる転換点になるのではないかと期待されている。
いくら失言やイメージダウンがあろうとも、芸能界は実力勝負の世界。アンチになっていた人たちすら魅了する演技を見せれば、世間の反応は一変する。まだまだ成長途中である広瀬がどのような女優になっていくのか、楽しみに見守りたい。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)