女性のアンダーヘアというのはいろいろと話題になるもので、さまざまな事件やエピソードが伝えられている。
本サイトでも幾度か記事にさせていただいており、大正12年には「女性の陰毛を拾い集めて売っていたグループが警察に突き出される」という事件も起きている。
この事件では、男たちは金儲けのために陰毛グッズを製作販売していたのだが、一方、純然と趣味のために、というか人生の目標としてヘアグッズの作成を目指し、志半ばで挫折した人物がいたという。
斎藤昌三氏の『三十六人の好色家』(昭和31年・創芸社)で紹介されている、滝島金加乱なる人物である。
本名は滝島藤太郎。明治26年に東京に生まれる。生家や職業については不祥だが、江戸文化についての収集に熱中し、とくに納札つまり千社札についてはその世界で知られるまでになったらしい。“金加乱”とはこの江戸文化収集の際につけた雅号ではないかと思われる。
やがて本郷の赤門前にあったタバコなどを売る店の娘と結婚し、養子となった。しかし、なかなかの好男子だったことに浮気心が手伝って、花柳界で遊びまわるようになる。同書で斎藤氏は「箒(ほうき)屋気分」などと表現しているが、「箒」とは花柳界の隠語で、次々に女性と関係を重ねる浮気者のことである。