鬼才・ヘンリー塚本のクレイジー昭和AV道【1】

「接吻はとろけるように甘くておいしい」AV界の鬼才・ヘンリー塚本が説く接吻論


 かくいう僕も、決して初めからいい接吻ができたわけではありません。初めてのキスは19歳の頃で、相手はいつも電車で一緒になるかわいい女子高生でした。僕は貧しくその頃もう働いていたのですが、彼女は予備校に通うために毎日総武線の同じ電車に乗っていました。普段はナンパなぞやらない純情な僕なのですが、このときを逃したら二度と会えないと思い、7日目に、思い切って声をかけました。彼女は教師の家庭に育ったお金持ちのご令嬢で、世の中のこともよく知らなかった。2人で喫茶店に行った際彼女は、出されたおしぼりを食べ物と勘違いして口にしてしまったのです。そこで僕も彼女に恥をかかせまいと、同じように食べてみせました。それくらい世間知らずの少女だったのです。そんなある日、夜の日比谷公園。僕は、初めての接吻をしました。もちろん彼女も生まれて初めて。あんなにも情熱的でおいしい接吻は、それ以後も二度となかった。彼女の両親に交際を反対されて関係は終わり、その子と性的な関係はなかったけれど、その接吻の思い出が、脳裏に焼き付いている。私の原体験なんです。

 以来、僕は接吻にこだわり続けてきました。接吻というのは、唇を重ねたら女性が男性の口にベロを入れなければならない。唇を重ねたら女性はずっと男性の中にベロを入れたまま。それを男性が吸うのです。それがおいしい接吻です。男性が挿入して女性が受け入れるというセックスの凹凸とは、逆なんですね。長年やってきてわかったことだけど、逆だとおいしくない。そのことはぜひともみなさんにご理解いただきたいですね。

 それと、僕は相手の唾を飲まない。一方的に飲ませるのが好きで、飲めるという女性に対しては、あふれるほどに唾が出てくる。そこは強引です。強引さや力強さはセックスにおいて必要なもので、特に接吻はそう。女は男の力強さに惹かれるもの。いまは女性上位の世の中だけど、昭和に生まれた僕としては、せめて接吻やセックスに関しては男が強くあってほしい。そういう意味でも、70すぎの老人が若い娘とする強引でねちっこい接吻の、エロティックさを観てほしいですね。ジジイの唾なんて飲みたくないという女の子は多いけど、それをおいしいとごくんごくん飲む女性の姿に、この接吻クレイジーで伝えたいことがあるんです。接吻とは、それほどまでに情念をかき立てるものなんです。
(構成=森野広明)

ヘンリー塚本(へんりー・つかもと)
昭和18(1943)年、東京都亀戸生まれ。昭和60(1985)年にAVメーカー・FAプロを設立。社長兼監督として、72歳になる現在も精力的に活動を続ける。貧しさのなか懸命に生きた昭和の郷愁を誘うその作風は、中高年AVユーザーの熱烈な支持を集めている。 
 
 
 

『ヘンリー塚本の接吻 クレイジー72才の老監督とおいしいベロ おいしい女性器の女優たち』

FAプロ30周年記念作品の第3弾! 人気女優から懐かしのあの女優、さらに名もなき女優たちとヘンリー塚本監督が繰り広げる、生ツバしたたる濃厚接吻のオンパレード。ヒゲも髪の毛も黒々しい若き日のヘンリー監督の勇姿も必見。
監督:ヘンリー塚本 発売日:2015年12月13日
収録時間:270分 メーカー:FAプロ

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