「AKBが売ったのはCDじゃなくて握手券でしょ」
「この記録は純粋なCDの売り上げと言えない。純粋に音楽でファンの心をつかんできたB’zに失礼」
「B’zは実力で勝負しているのにAKBは握手券や投票券をつける卑怯な売り方しているのでフェアじゃない」
「AKBがB’zに売上で勝ったらしいけど実力と握手券を比べないでほしい」
「正々堂々と音楽で売ってるB’zが握手券で売上を稼いでるAKBに抜かされたことが悔しい」
ご存知のようにAKBのシングルは握手券や「選抜総選挙」の投票券が付属し、それを目当てに同じCDを複数買いするファンが珍しくない。それだけにとどまらず、ジャケット違いやランダム生写真といったファンの「複数買い」を狙った趣向を凝らしている。
「運営サイドの狙い通りにコアなファンの大量買いが激化。今年5月に発売されたシングル『僕たちは戦わない』は握手券と投票権が付属し、接触重視のファンが握手券だけを抜いてヤクオフに大量出品したことが話題になりました。数百~千枚単位を購入したファンが珍しくなく、これはシングル発売後の恒例の光景になっている。握手券しか付いていないシングルの場合はオークションで売りさばくことができないため、大量のCDがゴミに出される。かつてシールだけを抜いてチョコ菓子が捨てられていた『ビックリマン』さながらの状態が続いています」(アイドルライター)
これはAKB商法が成功した当時から指摘されていたことだが、本来ならオマケである握手券とメインのCDの価値が逆転してしまっている。一方のB’zは基本的にシングルに特典をつけておらず、アルバムも「初回限定盤」「通常盤」くらいの違いしかなかった。これではB’zファンからブーイングされるのも無理はなく、公平な記録とはいえないような気がする。
しかし実際に数字を出しているAKBの脅威を無視することはできず、B’zも特典商法に舵を切るようになっているという。
「B’zは今年3月にリリースしたオリジナルアルバム『EPIC DAY』で初の複数バージョンを展開。通常盤をはじめ、ライブDVD付きの初回限定盤、PC用ダウンロードカードが付いたアナログレコード盤、オリジナルトートバッグやマフラータオルなどが同梱された『LIVE-GYM 2015盤』の4種が発売され、コアなファンはバージョン違いを複数買いをしているようです。また、6月にリリースしたシングル『RED』も通常版とライブDVD付きの初回限定盤、特別仕様のケースにオリジナルリストバンドが同梱された赤盤の3種を発売。プロ野球の黒田博樹投手の登場曲として書き下ろされたという背景があったとはいえ、グッズ付きシングルはファンにとって衝撃でした。音楽だけを売っていればいい時代ではなくなった象徴ともいえます」(音楽ライター)
あのB’zですら特典商法をマネなくてはならなくなったということだろうか。握手券と投票券を武器にしたAKBグループの快進撃は良くも悪くも音楽界を大きく変えてしまったといえそうだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)