千葉ねねインタビュー
誕生しては消える数多のAV女優たち。画面の中の華やかな世界とは裏腹に、本当に女優として華を咲かせることができるのはほんの一握りで、輝ける時間も限られている。セクシー女優としてお茶の間でアイドル的活躍を見せる女優もいれば、人知れず消えていく女優もいる。そんな中、29歳という決して若くはない年齢でAV業界に足を踏み入れようとしている女性、それが「千葉ねね」だ。
おっとりとした雰囲気にFカップという抜群のプロポーションで、大人の色香を漂わせる千葉。なんと彼女は、この世界に入るために離婚を決意したという異色の経歴の持ち主でもある。彼女の決意の裏にあるものとは…。
──「ハダカになるために離婚した」と聞きましたが、それは本当ですか?
「本当です。年齢的なことを考えた時に、今のキレイなカラダを作品として残したいという思いが強かったんです。だから、AV女優になることを決めました。しがらみを断ち切ることで前に進めるというか…。きれいにケジメをつけたかったんです」
――『ハダカになるために離婚』『AVに出演するために離婚しました』という言葉には、かなりのインパクトがありますが…。
「これは、私の決意の言葉なんです。これだけの意気込みがありますよ、という」
――AVの世界に入らなければ、結婚生活を続けていた可能性もありますか?
「そうですね。でも、別に仲良くもないのにずっと一緒にいて、疲れ切っていたんですよ。会話もなくって、もったいない時間を過ごして…って思ったら、そこは断ち切ってよかったと思います」
――ねねさんにとって、“ハダカを見せる”ってどういうことなんでしょう。
「私の中でカラダを見てもらうことは、抵抗というよりも、“見てもらうにふさわしいカラダであること”なんだと思います。もっとキレイになろうとか、細くしようとか、自分の中で明確な美意識があって、単にいやらしいだけではなくって、キレイな作品を撮りたいという気持ちが強いんですよ」
――AVも表現物の一形態として捉えているってことですね。
「そうですね。そのためにいろいろな努力もしています。食事もそうですが、エステや筋トレなどもやっています。きっと、AVに挑戦するって決めていなければ何もやっていなかったんだと思うんですよ。だから今、こういった“自分に時間をかけていること”が楽しいですね」
――昔からAVに出演したいと思っていたんでしょうか?
「昔からということはありません。歳とともに考え方が変化したというか。元旦那からオンナとして見られなくなったのがきっかけですね」
――結婚生活はどのくらいだったんでしょうか?
「7年くらいですね。22歳の時に結婚して、1年経たないくらいの時に浮気が発覚して…。浮気の証拠として、写真とかメールとかいっぱい出てきたのに、それでも謝ってくれなかったんですよ。とにかく誠意が見えなくて…。そういったこともあって、旦那さんのことを頼りにしなくなったんです」
――そもそも浮気の原因は?
「私としては、仕事もしてましたけど、主婦として家事もちゃんとこなしていたと思っているんですけどね。ほんと、浮気の原因は分かりません(笑)」
――どんな仕事をなさっていたんですか?
「ブライダルのヘアメイクの仕事をしていました。お世話してあげることが好きで、ヘアメイクっていってもそれで終わりじゃなく、式が終わる最後までつきっきりでした。ヘアメイク以外のことが好きだったかもしれないですね(笑)。メイクだけじゃなくて、介添えみたいなことを今もちょこちょこやっています」
――離婚されたのはいつになるんでしょう?
「つい最近、29歳の時ですね。浮気もされたし、もうずっと前から女性として見てもられないし、この人の奥さんでいても輝けないし、時間がもったいないなと思って。だったら、こうゆうハダカになったりすることで、見てもらえて、女の人としての輝きを見て欲しいと思ったんです」
――元旦那の浮気を知った時、逆に浮気してやろうとか思いませんでしたか?
「そんな気持ちにはならなかったですね。浮気してやろうというよりは、もう一度、女性として綺麗な姿を見て欲しい、見返してやりたいという願望の方が強かったんですよね」
――離婚でもめたりはしなかったんですか?
「もめたりはしませんでした。もう5年くらい前からセックスレスでしたし…。なにより、私がもうイヤだったんですよね、触られるのが。浮気が発覚してからは特に…」
――ヘアメイクの仕事に打ち込むのではなく、自分を美しく魅せる=AVに向かったきっかけは?
「ヘアメイクをやっていたということもあって、スタジオとかカメラマンを知っていたので、ある時、今の自分を残そうと思って、写真集を自費出版したんです。形にして残すというのはすごく楽しいことで、この写真集は自分でロケを組んで、カメラマンとかメイクとか連れて、京都の町家(町屋)とかで撮影したんですよ♪ とにかく、着物姿を美しく撮りたかったんです。撮影前には、しっかりエステで自分磨きを行いました。綺麗なラインを出したくって。そこから、撮られること、自分の作品を残すってことが楽しくなって、女性として見られたい願望も強くなっていったんだと思います」
――本当に表現願望が強いんですね。今後、どういった女優になりたいと考えていますか?
「年齢的なこともあるので、可愛らしさというところよりもキレイなお姉さん的な感じですかね」
――エロさではなく?
「エロさ“も”です(笑)。責められている時の表情もですけど、自分から求めていく姿を見て欲しいです」
――ちなみに、これまでの経験人数はどのくらいですか?
「20人くらいですかね? 結婚する前、離婚後も含めて」
――20人の中で一番興奮したのは?
「若い頃は酔っ払った勢いとかもありましたけど、最近はシラフで(笑)。つい最近で一番興奮したのは、相手は年下の子で、“教えて欲しい”といった感じだったことです。私自身が、今までずっと男性にリードされる方だったので、そんなこと言われたことがなくって、可愛いなぁと(笑)。私がいろいろ教えてあげて、それを一生懸命やっている姿をみたら、ちょっとキュンとしましたね」
――男性を選ぶ決め手って、何だと思いますか?
「う~ん、 “押し”ですかね。押しが強ければ、少し心が揺らぎますね(笑)」
――AVをやろうって決めたのは、誰かの“押し”ではなく自らの意思だと思いますが、どのくらい悩みましたか?
「1カ月くらい考えていたと思います。別に悪いことをしようという感覚はないし、隠したいと思っているわけでもなくって。でも、身内の人に見られた時に…というのは少し考えました」
――ふんぎりはついたんですか?
「そうですね。今やるしかないと思っています。どうしようどうしようって10年20年悩んでも歳とるだけだし、やっぱり、“失うものと引き換え”とまではいかないまでも、今やるべきだと思いました」
――失うものよりも得るものの方が大きかったってわけですね。その得るものというのはどのようなものでしょうか?
「自分自身が今の歳で輝いていけること、あと、作品を残していけることですね」
――やはり美への欲求っていうのが一番強いってことなんですか?
「そうですね。そこがやっぱり根本にあって、絶対にブレないところですね。これからいろんなスタッフさんたちと作品を作り上げていくなかで妥協したくないですし、メーカーさんやファンになってくれる人たちの期待を裏切りたくありません。現場で自分のできる表現はもちろんですが、そこに至るまでの体調やスタイルの維持も私の仕事だと思ってます」
――一番やりたいシチュエーションは?
「男性2人の3Pですかね(笑)。プライベートでやったことがないから試してみたいんです(笑)」
――ちなみに、自分が出演する作品は観ますか? 女優さんによっては、恥ずかしくって観られないという人も多いんですが。
「絶対に観ます! 何年経っても見返すと思います。おばあちゃんになっても(笑)。私、この時めっちゃキレイだったなぁって。その時に孫とかがいれば、見せたいくらいです(笑)。そのくらい自信を持って作りたいんです!!」
――孫ということは、今後、再婚の可能性もある?
「出会いがあれば(笑)。セックスレスじゃなく、浮気しない人で」
――では最後に、読者に向けてひと言お願いします。
「まだ、撮影前ですし、不安な部分はたくさんありますけど、でも、とにかく楽しみです。読者の皆さまにも、同じように楽しみに待っていただけたらと思います。若いコにはない色気だとか、いままでの経験とか、私の年齢ならではの魅力が伝えられたらいいな、と。それは『エロい』でも『セクシー』でも、どんな言葉でもいいんです。『こんな女の人が側にいたらいいな』とか妄想を膨らませて欲しい。作品を見ている間だけ、ほんのちょっとの時間で構わないので、私のことで頭をいっぱいにしてもらえたらとても嬉しいです!」
彼女がAV出演を決意した裏には、女性としての性に対する葛藤と美意識、そして表現者としての欲求があるようだ。「女性の美しさを体現」したいと願う彼女の処女作がどのようなものに仕上がるのか、楽しみに待ちたい。
(文=橋本真澄/写真=カズヒロ)
千葉ねね公式ブログ「ね~ね~聞いてよ」
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