九州最大の歓楽街・中洲。虚飾の街には、今夜も金と欲望が渦巻き、酔いしれる人々に魔の手が襲いかかる…
警察の密着番組みたいな出だしだが、あながち間違った話ではない。中洲では、酔っぱらってもタダでは眠らせてくれない、誘惑のあの手この手が待っているのだ。
国体道路を境に北と南に分断される中洲は、北に飲み屋街、南にソープ街が並んでいる。深夜、南新地を歩くと、午前0時をとっくに回ったにもかかわらず、ソープやトクヨク(中洲ではファッションヘルスの意味)の客引きが「まだ入れますよ」と誘ってくる。
しかし、それは風俗街ならまだわかるが、驚いたのは、北のスナックで飲んだ時だった。
編集と2人で裏風俗の取材に行った週末の夜、30代の美人ママのいる小さなスナックで飲み、午前2時頃、帰ろうとお勘定をしてもらった時、ママが言った。
「この後、どうするの? すぐ寝るの?」
最初は、アフターか何かに誘われているのかと思ったが、それにしては時間が早い。
「ソープでもヘルスでも紹介できるよ」
へー、こっち側でもでそうなんだ。しかも、飲み屋が案内所みたいなこともしてくれるとは…。しかし、南新地はホテルとは逆方向。ネタにもならないので断ったのだが、ママは続けた。
「それならデリヘルにしたら? 普通のデリヘルと裏のデリヘルがあるよ」
「裏」と言われ、これはネタになると考えた。
料金は2万円と1万5000円。結果、記者が裏を、編集が普通のデリを呼ぶことにすると、ママが店に連絡を取ってくれた。