「事の発端は、まず、弊社が2013年1月に公然わいせつ罪で摘発されて、その後、8か月間の営業停止処分を受けたことに始まります」
当然ながら、営業ができないと収入は途絶える。その結果、家賃滞納となり、TSミュージックは家主と話し合った結果、分割払いの合意を得たという。
「ただ、この件に関しましては、いわゆる口約束だったことが現在の問題に至っているのですが…。営業停止期間中は支払いが難しいとの御理解をしていただき、営業開始後にお支払いすることを約束しました。事実、営業再開後に決まった額を返済していましたが、残り3カ月分となったところで立ち退きを通達されました。2014年3月のことです」
理由として、賃料不払いや共有部分の不法占拠などが上げられたという。ちなみにTSミュージックは、営業停止以前に家賃未払いはなく、いわゆる優良企業であった。
「まず、営業できない期間に滞納したことは事実で、申し訳ないと思いますし、正当化するつもりはございません。しかし、東京地裁での第1審では分割払いの合意があったことが認められず、建物を明け渡せとの判決でした。これまで支払いの遅延はなく、家主との信頼関係も構築できていたと思っていただけに、約束が“なかったこと”にされるのは、本当に想定外のことでした。残念ながら当方の主張が受け入れられず、先日、東京地方裁判所にて被告敗訴の言渡しを受けまして。控訴の申し立てをしました」
というのが大まかな流れであるが、ある報道によれば、2014年1月にテナント側と家主の間で水道の漏水を巡るトラブルがあったという。
「それは事実です。故障した個所はビル側の管理下にあるものなので、交換義務などについては主張しました。その2カ月後に立ち退きを通達されたのは…」
岡野氏は言葉を濁すが、やはり、勘繰るところがあって当然である。裁判所はこの一件と立ち退きに関して無関係と主張はしているが、ところどころにストリップというものに対して悪意を含んだ物言いをしていると感じる場面もあったそうだ。
「まず、私たちはストリップは大衆芸能という文化だと思っています。ですが、判決文を見た限り、ストリップは低俗かつ害悪であり、その劇場は廃止するべきだという偏見があったと言わざるを得ないんですね。おそらく、いまだに昔の“まな板ショー”などのイメージが残っているのでしょうね…」
無念の表情を浮かべる岡野氏であるが、驚くことに、その判決文の中には、2013年1月の摘発時に報道されたネットニュースなどの丸写し、いわゆるコピペ引用が見られるという。記名記事ではなく、匿名での報道の文の、である。
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