プレイ後、ケイコさんにこのテクニックについて聞くと、
「気持ちイイでしょ? 『シルクロード舐め』っていうのよ。今、やる人があまりいないから、お客様の世代の方だと知らないかもしれませんね」
と教えてくれた。アナル周辺からタマブクロの裏までの蟻の門渡りを舐めるテクニック、それが『シルクロード舐め』。話には聞いたことがあったが、筆者は初体験だった。その名前の由来は、
「もちろん、昔からそこを舐めることはあったけど、改めてそう呼ばれるようになったのは、1980年代にNHKの『シルクロード』のドキュメンタリーが流行ったころみたい」
と教えてくれた。おそらく、蟻の門渡りの一本筋をシルクロードに例えたのだろう。ケイコさんが吉原で働きはじめた頃は、オーソドックスなテクニックだったという。
なぜケイコさんは、この“失われたテクニック”を繰り出したのだろうか。彼女いわく、現在、在籍しているデリヘルで働き始めたころ、昔のクセが抜けずにお客さんから注意を受けたことは前述の通りである。「でも、ソープのテクニックしか知らないから」と、無意識にシルクロード舐めしたという。舐める箇所が箇所なだけに、くすぐったいのか拒むお客さんもいたという。
「だけど、その反面、『おっ、なつかしいね!』とおっしゃる年配のお客様も多くて」
そこからは、初めてのお客さんにも「とりあえず」という感じでシルクロード舐めしているのだという。つまり、彼女にとってはごく当たり前のテクニックであったわけだが、お客には新鮮に映ったのだろう。
ケイコさんは、デリバリーヘルスという、彼女が風俗を離れている間に主流になったジャンルに身を投じ、違和感を覚えたことがあるという。それは“キス”。
「もちろん、キス自体は好きなんです。盛り上がりますもんね。でも、私、昔のソープしか知らないから、風俗嬢とお客様の関係でとなると、最初は戸惑いました(苦笑)」
昔のソープランドで働く女性は「身体は売っても心は売らない」という気持ちの表れとして、客とはキスをしなかった。もちろん、現在のソープランドでは、ほとんどの泡姫がキスを許してくれているが…。
「キスをしないのは、そういう気持ちも大きいと思うんですけど…。私自身、たとえば、シルクロード舐めをした後に、その唇でキスをするのって、と思ってしまうんです。なので、昔のソープの女の子がキスをしなかったのは、“マナー”でもあったんじゃないかなって思うの」
と自論を語ったケイコさん。たしかに、あくまでも筆者の個人的なデータだが、今の泡姫でジックリとシルクロード舐めをする女の子に当たったことはない。逆に、ここ最近では、花時計の泡姫以外はキスしてくれる…。妙に納得してしまった筆者なのであった。
(文=子門仁)