ある風俗嬢の懺悔録! 芸能人になった元同僚の過去をめぐり…

※イメージ画像:Thinkstockより

 電車内の週刊誌の吊り広告を見ていると、時折、「スクープ! 女優Aはソープ嬢だった!」とか「アイドルBのデリヘル勤務発覚!」といった見出しが躍ることがある。風俗に関わっている者としては「風俗で働いていたことって、そんなに騒ぐことか?」と思ってしまうが…。そして、不思議なのは、その情報の出どころである。

 たとえば、若いタレントがここ数年の間に在籍していたとする。店のホームページだけではなく、風俗検索サイトにプロフィールを載せていたら、このネット時代、どこかしらに証拠として残ってしまう。しかし、現在、40代前後の女性タレントの“若い頃の”風俗勤務の噂に関しては、その当時にはホームページはないだろうし、情報誌に掲載されたとしても20年前の雑誌を保管している人は稀だろう。それで疑われても、顔出しの有無を問わず「違う」と言い張るか、無視していればスルーできることだ。だからこそ、そのような噂が出るのが不思議に思えるのである。
 
 
 
「アタシの時は…その人の事務所の人間が“消しに来た”んだよね…」
 
 
 
 そう話してくれたのは、アキコさん(仮名)。彼女は現在43歳で、四国某所のソープランドで働いている。筆者とは10年ほど前に彼女が勤務していた店の取材で知り合った。今はメールで年始の挨拶を交わす程度だが、それでも、数年に一度、四国を訪れた際には飲みに行ったりするほど懇意にしてもらっている。

 アキコさんが風俗業界に入ったのは、19歳の時のこと。かれこれ四半世紀近くを風俗嬢として生きていることになる。ピンサロ、ヘルス、ソープと、ほぼ全ジャンルの風俗を経験。そして、日本各地の風俗街を転々としてきた。もちろん、それにはワケがある…。

 それは7年前、彼女が四国に渡って間もない頃のことだ。筆者と彼女は小さな居酒屋で呑んでいた。そのお店にはテレビが置いてあったのだが、そこにある女性タレントが映っていた。その人は昔から「元風俗嬢だったのでは?」という疑惑がある人物だったが、当然ながら決定的な証拠はなく、もはや都市伝説のように語られていた。

 「この人も(元)風俗嬢の噂が絶えないよね~」という感じで筆者が軽口を叩くと、アキコさんは「噂、なのかな? 火のないところに…っていうけど?」と意味深な笑みを浮かべた。お互いに酩酊していたので、最初は「?」と思ったが…。

 アキコさん本人より、これから登場する人物(女性タレント)を一切匂わせないでほしいとの希望があったので、かなり曖昧な表現になる箇所があることをご了承いただきたい。

 19歳の時、「お金が必要になった」ために店舗型ヘルスで働き始めたアキコさん。高校生の頃から好奇心旺盛で、エッチは嫌いじゃないこともあって、風俗業界にはすんなりと馴染めたそうだ。

 若いながらもシッカリとしたテクニックを持っていたことで、スグに人気者になったアキコさん。その後、彼女の噂を聞きつけた高級ソープランドからスカウトされた。22年前のことである。

 その高級ソープランドでのこと。時代的にまだバブルの香りが残っていて、繁盛店であったこともあり、仕事終わりにスタッフ・泡姫で食事に出かけることもけっこうあったという。
 
 
 
「そのソープは基本的に個室待機のお店で、ほかの女の子と会うのって、そういう食事会の時くらいなんだよね。だから、同じ店の子なのに“面識がある程度”の仲だったんだけど…その中に“あの人”がいたの」
 
 
 
 彼女が言うところの“あの人”とは、居酒屋のテレビの画面に映っていた人だった。「やっぱりか…」と思った筆者を尻目に、彼女は話を続ける。
 
 
 
「その後、月に1、2度の食事会では顔を合わせてたんだけど、ある日、辞めちゃったんだよね。なんでも、芸能界に入るって言ってたみたいで。でも、アタシらの世界から芸能界って、AV女優になるのかと思ってたのよ、最初は。そしたら、ある日…」
 
 
 
 彼女はローカル番組ながらも民放の番組に出演していたという。最初は「似てるなぁ」程度であったようだが、確信したのは体型だった。その女性タレントは、スレンダーというよりもグラマラスな体型がウリだったが、アキコさんいわく「ピルを服用している肉づきなんだよね。アタシらは“ピル太り”って言ってるけど」とのこと。なんでも、芸能人の水着グラビアを見れば、ピルの服用者が分かるのだとか…。そして、『ピルを服用=ヤリマン』という図式で見てしまうのだという。

 ちなみに、その女性タレントの噂は、“ソープ在籍時に芸能界の大物に気に入られてタレントになった”というものだったが、「アタシはわかんないわ~。たしかに、そのお店にはツアーで訪れた大物ミュージシャンや、プロスポーツ選手が出入りしていたけど」と、真相は闇の中である。

 その女性タレントが在籍していたことがアキコさんの中で確定的になったのは、彼女が徐々にメジャーになってきたころのことだった。

 ある日、店に女性タレントの事務所関係者を名乗る人物が現れ、プロフィール写真など在籍時の証拠になるようなものを買い取ったという。そして、その後、在籍していた女の子に“大入り袋”が配られ、同時に「口外するな」と釘を刺されたそうである。もちろん、誓約書も書かされた。これで、彼女は在籍していないことになった。噂では、タレントが掲載されていた風俗情報誌の編集部にも事務所関係者がやってきて、証拠になりそうなものが買い取ったとも…。

 ところが、その話題も落ち着いたある日のこと、「この店って、タレントの○○が在籍していたんでしょ?」と切り出してきたお客が現れた。不意をつかれたアキコさんは、思わず「え?」と聞き返した。明らかに自分でも動揺していることが分かったという。

 部屋に静寂が流れたが、そのお客のバッグの中からは“何かが回っている機械音”がした。直感的に録音されている=マスコミだと思ったアキコさんは、「知らない。知らないし…大事なことは初めてのお客さんには言わないわ」とはぐらかした。すると、「話すまで来るから」と薄気味悪いことを言い出した。

 その言葉通り、3日後に男はふたたび現れた。そして今度は、週刊誌の記者であることを明かしたうえで真相を聞いてきた。
 
 
 
「アタシ、その時メチャクチャ金に困ってて、指名が欲しかったんで、また“まだ話せない”ってしぶったの。結局、4回目くらいで“いないよ”って言ったら、さすがにムッとされた(苦笑)」
 
 
 
 これで女性タレントの事務所との約束は守ったことになった。しかし、今度は、どこで噂を聞きつけたのか、他のマスコミがやってきて情報収集をするようになった。そのマスコミの中には、ある風俗嬢から買い取ったという、女性タレントとアキコさんを含め、数名で写っているプリクラを証拠として持ってきた者もいたという。ちなみに、その時の状況は「酔った勢いで、食事した近所のゲーセンでノリで撮ったのは覚えていたけど…」とのこと。どうやら、そこに写っていて今は店にいない女の子が情報を売り、「まだ、アキコさんは在籍している」と吹聴したことで、マスコミが客のフリをしてアキコさんに接触してきたということのようだ。

 さらに記者は、「正直に話してくれたら、コレ、あげるよ」と封筒をチラつかせてきた。中に札が入っていることが透けて分かり、「アタシさぁ、その時、借金抱えてて、ホントにお金に困っていて…」と、思わず受け取ってしまい、知っている限りを話してしまったという。

 すると…ここからは憶測になるが、そのマスコミが女性タレントの事務所に記事するといった感じで話を持ち込んだのだろう。もちろん、知られるハズのない情報だし、知っているのはアキコさんが在籍していた店の者だけである。そこからは事務所と店の間で何かあったのだろう。まず、店長がいなくなり、なんとなくアキコさんがチクったのではないかという感じに…。

 「当然、店にいられなくなってさ…」と、そこからは流転の風俗嬢にならざるを得なくなり、現在に至るという。今では、「このご時世だったら、ネットでスグにバラされちゃうけど、昔は証拠さえ買い取ってしまえば何とかなったもんよね。だから、これからは風俗出身のタレントっていなくなるんじゃない?」と豪快に笑うアキコさん。あの店を逃げた後は、しばらくの間、常に誰かに後をつけられている気がし、「今でもテレビとかで“あの人”を見かけると、ドキッとしちゃう…」のだという。彼女の懺悔は、この気持ちが消えない限り終わらないようだ。
(文=子門仁)

men'sオススメ記事

men's人気記事ランキング

men's特選アーカイブ