【AV脚本家・色川ザクロ】 AVドラマ『女戦士もの』に見る裏クールジャパン


 近年、AV業界の成熟とともに、女優のルックスも飛躍的に向上し、今や単体女優やキカタン女優のなかには、アイドルに勝るとも劣らない容姿を持った女の子が現れるようになった。

 この質的向上は、ファンの立場からすると歓迎すべき傾向ではあったものの、同時に「どうしてこんな娘が?」のときめきを奪う結果となった。

 つまり、極めて贅沢な話であるが、日本のAVファンは女優のスペックだけでは満足しない体質になってしまったのだ。「元芸能人」のような、希少な肩書きがなくては、もはや性欲の対象にならない時代に突入しているのである。

 とはいえ、そんな美貌とキャリアを兼ね備えた人材など、そうそう発掘できるわけがない。昨今、「熟れコミ」や「Eドラ!」など、AVドラマを主体とした新レーベルが増えつつあるのは、おそらく女優への過剰な期待を埋め合わせるため、再びフィクションの世界が注目されるようになったからではないだろうか。

 考えてみれば、「清楚な女生徒」や「貞淑な人妻」、「博愛なナース」などは、現実社会では絶滅危惧種的存在であり、AVドラマでしか見かけない存在だ。

 もしかしたら、自らの死を厭わず、たった一人で大勢の敵に挑む女戦士は、AVマニアが到達した、人間に対する憧憬の、言わば最終形なのかもしれない。

 ところで、この女戦士ものはとにかく作品作りに時間がかかる。アクションから芝居、そして濡れ場と全ての要素を満たさなければ成立しないのだから、現場は常に戦場だ。

 日本ほどエロスに手間暇をかける国はないが、なかでもこの女戦士ものは、クオリティの高い作品が多い。まだ未見の方は、是非一度、手に取ってご覧いただきたい。日陰な世界ゆえ、クールジャパンに数えることはできないが、日本人が誇るべき美徳である「生真面目さ」を実感することができるだろう。
(文=色川ザクロ)

■色川ザクロ
世にも珍しいAV脚本家。極悪非道な物語を得意とする傍らで、元ナースの嫁に虐げられた日々を送る。家庭内ステータスは愛犬ちい坊に続く堂々のNo.3。

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監督:羹灼
脚本:色川ザクロ
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