「この『深夜の馬鹿力』は、テレビで見るような博識でおとなしい伊集院さんとは打って変わって、『黒伊集院』ともいうべき彼の本性がむき出しになったマシンガントークがウリとなっています。そんな彼はラジオリスナーから絶大な支持を受けており、過去の月曜オールナイトニッポン(ANN)はことこどく敗れ去ってきました。その中にはロンドンブーツ1号2号、ココリコなどのお笑い芸人だけでなく、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔や西川貴教といったミュージシャンの名前も。ほかに俳優の城田優、演出家や脚本家などマルチに活躍するクリエイターの大宮エリーなどが挑戦してきましたが、いずれも数字を伸ばせなかった。鬼龍院さんなどは4年間番組を続けましたが、ほかはほとんど1~2年で終了に追いやられているのです」(前同)
もちろん、終了の理由は聴取率だけの問題ではないだろうが、鬼龍院は番組の最終回に「数字(聴取率)が悪い!」「なにより裏(番組)が強い!」と正直に終了の理由を明かしている。ちなみに今年4月に行われた聴取率調査では、月曜ANNが0.1%に対して、月曜JUNKが0.9%と大きな差をつけている(ビデオリサーチ調べ/首都圏ラジオ聴取率調査)。この0.9%という数字はテレビ視聴率と比べるとたいしたことのないように思えるが、現在のラジオの世界では「高聴取率」なのである。
そんなレジェンドに対抗する村本は、7月のスタート時に自らのTwitterで「国取りじゃい」「番狂わせ起こすぜ」と息巻いていた。村本が王者・伊集院を食うことはできるのだろうか?
「ラジオ番組はテレビ以上に固定のファンがつくものです。そのため1度聴きはじめたらなかなか別の番組に移らない。長年の習慣を覆すのは難しいでしょう。とはいえ、最近の『深夜の馬鹿力』には少し大人しくなったという声も聞かれます。というのも最近の伊集院さんのトークは毒が弱まってきた印象がある。それに不満を抱き始めたリスナーもいるようです。スタート当初27歳だった彼も今や47歳で、年齢的にも丸くなってきているのかも」(前同)
個人的なことを言わせてもらえば、今のラジオの伊集院は「面白そうに喋っているだけ」で、実は笑えないこともある。また、持ち味だった「誇大妄想」からくる比喩表現の手数も少なくなり、長時間のトークが間延びしている感もある。ファンの中からは、しばらく充電して「喋る話題をためた方がいいのでは」と心配する声も上がっている状況だ。
長年、君臨し続けてきたラジオの王様にも、どうやら「死角」が見え始めた。8月末も聴取率調査が実施されたが、結果はこの9月中か少なくとも10月初旬にも判明するだろう。果たして村本は歴史に風穴を開けることができるのだろうか。
(文=今井良介)