逮捕された夫の復讐のために色仕掛けで警官を罠にはめた妻


 妻は夫が逮捕されたことで、「死を覚悟して」警部補への復讐を決意。自分から警部補を誘って肉体関係を結び、そのことを警察署長あてに文書で告発する計画を進めていた。

 計画は順調に進んでいた。だが、いざ姫路署長あてに投書しようとしていた矢先、このことがバレてはまずいと思ったのだろう、警部補が事態のもみ消しに動き出した。そこで妻は当初の予定を変更し、弁護士に警部補との情交の証拠を提出し、ことを公にする手段に出た。これなら、警察署内部でうやむやにされる可能性が少なくなるという考えからであろう。

 それにしても、夫を逮捕されたことの復讐に、自らの肉体を差し出すとは確かに思い切った行動である。しかも、記事を見る限り夫である教師は冤罪とか不当逮捕であるとかいったことではないらしい。

 

※画像:『東京朝日新聞』大正15年6月16日

 
 夫を思う妻による犯行といえば、1998年1月に名古屋で起きた、取調室からの夫奪還事件がある。乗用車窃盗団のメンバーだった夫(22)を、妻(25)が警察署の取調室から逃走させた事件である。

 妻は逮捕された夫の面会で取調室の位置を確認。「差し入れに行きたい」と言って警察署を訪れると、取調室へと直行。そして催涙スプレーを噴霧し、担当刑事がひるんだすきに夫を助け出してクルマで逃亡したのである。

 2人は5日後に捕まったが、その際、夫は抵抗せずおとなしく従ったが、妻は罵声を上げながら激しく抵抗したという。
(文=橋本玉泉)

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