『鬱だ一番!アーバンギャルドまつり2015』開催! 新メンバー加入のアーバンギャルドは今後どう変わっていくのか

 
──第二部で行われた内容が両日ともとってもユニークで、初日の詩劇『アーバンギャルドの新宿に死す』などはすごく感銘を受けました。新宿という都市と少女をテーマに、歌を間に盛り込んだアングラ風の詩の朗読劇といった感じでしたね。内容にすごく深みがあって面白かったです。

松永:以前、寺山修司(劇作家)が新宿について書いた『あゝ、荒野』を読んですごく感銘を受けたんです。寺山も描いたかつての新宿への僕らのオマージュのような作品を作ろうと思ったんです。

──ミュージシャンでありながら、歌だけでなく、こういった演劇的なものをやっても違和感がないところがアーバンギャルドの不思議なところ、すごいところだなと思います。

松永:詩劇に関しては、僕はもともと高校時代、大学時代とずっと演劇をやっていた人間なんですよ。で、まあ、何の因果か、今、結果的にバンドをやって、それなりに皆さんに見てもらえているわけですけれども、基本はPOPなものを志望しながらも、自分の根幹には詩であったり、演劇であったり、人からある種、アングラと呼ばれているものもたくさんあったりするんです。そういったものをこれまでバンドの隠し味のようにしてきたんですけど、今回、新メンバーとして加入したおおくぼ君が「(二部に)劇をやりたいですね。芝居をやりたいです」って提案してくれて、「朗読劇のような形式なら、ちょっとありかもしれない」って思って、あえてバックグラウンドとして持っていながら触れていなかったものを解禁してみた感じですね。

──おおくぼさんも松永さん同様、演劇的なエッセンスをバックグラウンドの中に持っているということですか。

松永:演劇もそうですし、クラシカルなフィールドなど、僕らがもともと持っているものを彼も持っているんですよ。 
 

──浜崎さんの方は、今回の詩劇を終えてみていかがですか?

浜崎:わたし、歌以外の演技って初めてだったんです。でも、こういうのもライブの延長という感覚で自然に受け止められました。また機会があればぜひやってみたいです。話をもらった時も、やることに抵抗は全然なかったです。わたし自身は基本、何にでも挑戦してみたいなって思っているので。

──詩劇に対する周囲の反応はどうでしたか?

松永:昨日やった時に(初日)、関係者の方というか、いろんな方が会場にいらっしゃっていて、「アーバンギャルドの歌はただの楽曲というだけでなく、実は『アーバンギャルド』という物語の挿入歌でもあったんだね」っていうことを言われたんです。ある意味、アーバンギャルドの世界を触感するような芝居になったのかなと自分では思っています。

浜崎:やっぱり感動したっていう人が多くて。わたしの見間違いでなければ、お客さんのなかにも泣いていらっしゃる人がかなりいて、すごくうれしかった。物語の中の、みんなが一度は思ったことあるんじゃないかなっていう少女の感情や、作品のテーマが涙につながったんじゃないかなって思っています。わたしもステージの上で知らないうちに泣いていたんです。 
 

 
──イベントでは、この5月からのツアーで会場のみで販売されるミニアルバムの告知もされていましたが、収録曲は「原爆の恋」など、けっこう過激なテーマのものが多いように感じました。メジャーで出せないもの、出しにくいテーマのものを、今回あえて会場限定で販売してみようということなのでしょうか。

浜崎:クローズなもの、あえて放送禁止なものを作って販売するという感じです。今回、会場限定っていうことで、このタイミングで、もう一回自分たちの作りたいもの、やりたいものを、(規制など)気にしないで出す絶好の機会だと思ったんです。思いっきり振り切った内容になっていると思います。

松永:僕らはメジャーなフィールドでやっていく、そういう気概でやっていますけど、もうひとつのオルタナティブというか、アンダーグラウンドな血というものも流れていて、それを時に出すことによって、あえて伝えたいことがあるといいますか。あえて放送禁止のアーバンギャルドのイメージをここで作ってみたという感じです。

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