たったひとりで大勢の芸人やタレントを相手にするマツコには、視聴者も応援するような気持ちを抱いているのかもしれない。
「一般的に深夜番組がゴールデンタイムに上がるとなれば、出演者もスタッフもつい力が入ってしまうもの。しかし『マツコの~』には、そんな様子はいっさい見られないですね。番組予算は格段に跳ね上がったはずですが、マツコさんの横にアシスタントをつけるわけでもなく、タレントゲストも呼ばず、深夜と同じスタンスを貫いていますから、よほど企画内容に自信を持っているのだと思います。
また、これまで数々の番組が深夜からゴールデンに進出したことによって魅力を半減させてきたのを視聴者は経験的によく知っています。しかし『マツコの~』はこうした視聴者の懸念を見事に跳ね返したため好調を維持しているのでしょう。マツコさん自身も変にかしこまったりせず、はっきりした物言いは相変わらずですからね。『ポテトチップスの世界』がテーマだった10日の放送でも、菓子メーカー・菊水堂の『できたてポテトチップ』を絶賛したかと思えば、山芳製菓のキャビア味のポテトチップスについて『生臭い…』『あのね…。まずい』と散々な言いようでした(笑)」(テレビ関係者)
マツコの人気の秘密は無意識ながら視聴者の期待に応える点にあるのかもしれない。4月からは『全力! 脱力タイムズ』(フジテレビ系)と『マツコとマツコ』(日本テレビ系)の2本が新しく始まり、現在のレギュラーと合わせれば週6でキー局のバラエティに出演することになるマツコ。視聴者から信頼のまなざしを向けられている彼女をもっとも注意深く見つめているのは芸人たちなのかもしれない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
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