ポップなデザインながらエロティックな雰囲気を感じさせる作品で人気のフォトグラファー・口枷屋モイラ。オリジナルのフェティッシュな表現で女性からの支持も高く、彼女の生み出すグッズは、「ヴィレッジヴァンガード」などでも取り扱われている。コスプレイヤーとしても有名なモイラは、自らの作品を中心にモデルとしても活動し、セルフプロデュースした数々の作品でオリジナリティにあふれた世界を表現する。
黒髪ロングヘアと少し気だるそうな表情が特徴的なモイラは、さまざまなアイテムやイラストのモチーフとなっており、ひとつのキャラクターとしても確立されている。カメラマンとして活動しながら、人気コスプレイヤーという一面を持ち、フェチ系ファッションの女性たちから人気を集めるグッズを手がける。多才な彼女だが、それゆえその素顔はなかなか見えづらい。鮮やかなカラーリングの作品の中に妖艶なエロスをにじませる口枷屋モイラとは…。
――京都府の出身なんですね。
「けっこうコテコテの関西人ですよ。吉本新喜劇とかすごく好きですから」
――それはイメージにありませんでした。子どものころからですか?
「そうですね。関西では新喜劇って日常の一部みたいなものですから、毎週のように見てました」
――いわゆる関西の子どもっていう感じですね。
「そうだったと思います。でも子どものころは小説家になりたかったんです。特にミステリーが好きで小学生のころは図書館に通って江戸川乱歩とか読んでいましたね。いまでもそうなんですが、けっこうな活字中毒だったと思います。『少年探偵団』から始まって、アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』とか、モーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』シリーズはほとんど読破しています。それから島田荘司さんや京極夏彦さんなど日本のミステリーにもはまって色々と読み漁っていました」
――エドガー・アラン・ポーとかも?
「乱歩からポーっていうのは定番の流れですね(笑)。中学生のころに読んでいましたよ。ちょっと怖かったのをよく覚えています。夜、寝る前にポーの『アッシャー家の崩壊』を読んで、夢の中でうなされちゃいました。それからというものポーは夜に読まないようにしています(笑)」
――かなり刺激的な描写もありますからね。
「子どもには早かったのかもしれません(笑)。でも当時の読書体験が、いまの活動にも影響している気はします。ミステリー作品には拷問器具とかいっぱい出てきますから。そのころから、そういったモノに興味がわいてきたのだと思います。特にヨーロッパの拷問器具に魅力を感じちゃいましたね(笑)。たぶんそころからフェティッシュやアート系の本に手を伸ばすようになったんだと思います」