だが、それから復活するまでの「空白の10年」を無為に過ごしていたわけではない。02年に竹中直人(58)と共演した舞台「月光のつゝしみ」に出演。スッピンにタイトスカートというシノラーファッションを封印した姿で熱演し、ファンから好評を得たことで何もアクセサリーを身に着けていない「素の自分」に自信がついたという。さらに蜷川幸雄(79)やイッセー尾形(62)の舞台などにも出演し、女優としての実力が確実に磨かれていった。また2000年代にファッション系の学校に通って衣装デザインを勉強し、それが前述の松任谷のステージ衣装のデザインという仕事につながった。篠原のデザインセンスは業界内で高く評価されており、テクノアイドルユニット「Cupitron」のステージ衣装なども手掛けている。
世間から見ればあまり目立たない地道な努力あってこその復活だったといえるが、何よりも彼女の支持を高めているのは「劣化知らず」のルックスだ。
「もともと業界のカメラマンやメイクさんの間では『シノラーは隠れ美形』といわれていたのですが、当時は突飛なファッションばかり注目され、世間からは色モノ扱いされていた。しかし、最近は年齢に合ったファッションをするようになったことで容姿の美しさが知れ渡り、その世間の驚きが再ブレイクの土台になっている。シノラー時代は歯並びの悪さが唯一のウィークポイントだったのですが、歯を治したことで非の打ちどころのない美人になりましたね」(芸能関係者)
“キレイなお姉さん”にイメチェンした篠原だが、本来なら「黒歴史」になってもおかしくないシノラー時代のファッションを再披露するなど、過去を否定する気配は全くない。ライブでピエール瀧(47)とともに「Wシノラー」を披露したり、海外でランドセルがファッションとして流行っているとの話題に「シノラー時代、来たーっ!」とコメントしたりと、むしろシノラー時代を宝物のように愛でている。それどころか「シノラーを進化させていきたい」「にぎやかな部分はおばあちゃんになるまでずっと持ち続けたい」と意気込んでおり、新たな魅力を見せつつもシノラーというキャラクターも大切にしているようだ。
素知らぬ顔でキャラ変すれば反発を招くこともあるが、彼女の場合は過去を大事にしながら努力によって芸の幅を広げたことが現在のブレイクにつながったといえるだろう。今年でデビュー20周年を迎えるシノラー、完全復活で今後も大活躍しそうだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)