軽快なリズムの中に「ラッスンゴレライ」という意味不明のワードを織り交ぜる歌ネタで、急激に露出を増やしている吉本の若手芸人・8.6秒バズーカー。注目を浴び始めたばかりの彼らだが、早くも一発屋芸人の最有力候補に挙げられているという。
「リズム芸はそもそも覚えてもらいやすい。『ラッスンゴレライ』というフレーズも、子どもたちが今こぞってマネしています。ただ、漫才やコントのようにその人の地が出る“芸”と違って、一発ギャグ的な要素が強く、軽く見られてしまうこともあります。その軽さゆえに人気のピークがおとずれた瞬間から、すぐ忘れ去られてしまう可能性も高いですね」(お笑い関係者)
オリエンタルラジオの「武勇伝」、レギュラーの「あるある探検隊」、藤崎マーケットの「ラララライ体操」、2700の「右ひじ左ひじ交互に見て」など…。8.6秒バズーカーは、リズム芸で人気を博した先輩芸人たちの血をしっかりと受け継いでいるといえるが、彼らの多くは残念ながら一世を風靡したものの、いつしかメディアの第一線から姿を消してしまった。
そんな一発屋を生む構造はテレビ業界全体に責任があると別の業界関係者は語る。
「今の制作者たちは常にキャッチーな面白さを求めています。これはインターネット、特にYouTubeの影響が大きいでしょう。YouTubeが普及したことによって、いかに短くてインパクトのあるものを視聴者に見せることができるかが重要だと考えられるようになりました。最近のテレビは徐々にYouTube化しているような印象です。そのため、芸人のネタにしても、ほかのVTR映像にしても同じものを使い回しするようになってしまいました。まるで使い捨てのように芸人のネタを扱うため、業界全体のブラック化が進んでいるようにも思えます。
さらにいえば、今のバラエティ界には、若手芸人を自分たちの手で育てようという志のあるテレビマンが少ない。その証拠に、民放のお笑いコンテスト番組は『THE MANZAI』、『R-1』(ともにフジテレビ系)、『キングオブコント』(TBS系)のスペシャル番組だけ。いずれも育成の場というよりイベント的な性格が強い。『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)の復活がせめてもの救いですね」(業界関係者)