「多くの視聴者にとって、武田さんはアクション女優という印象が強い。2009年公開の映画『ハイキック・ガール!』や、その後の『デッド寿司』『ヌイグルマーZ』などで華麗なアクションを披露しているため、そうしたイメージは仕方ないと思います。しかし、昨年2月に公開された映画『祖谷物語-おくのひと-』では、徳島県の山奥で祖父と暮らす素朴な女子高校生を演じています。アクションシーンはなく、人間と自然の関係性を深く描いた作中で、彼女は力強く生きる少女を熱演。セリフは少ないですが、泥にまみれ傷だらけになり、骨太な演技を披露しました。
作品自体も、香港国際映画祭で審査員特別賞を受賞するなど評価され、思春期特有の複雑で痛々しい心境を見事に表現した彼女は、女優として大きくステップアップした。その後彼女は、派手なアクションシーンのない映画『リュウグウノツカイ』、『夜があけたら』などで主演を務めています。アクション女優のイメージが強い武田さんですが、今では演技派としても注目を浴びる存在です」(芸能ライター)
ゆうばり国際映画祭(2014年)では、今後に期待が寄せられる若手としてニューウェーブアワード女優部門を受賞している武田。「ジャッキー・チェンのようになりたい」と話していることから、本人はアクションの道を極めたいようだが、活躍を続ければ、ジャンルを飛び越えた女優として認知されることだろう。
しかし、今後さらに武田が女優として役柄の幅を広げるためには、人々を魅了する妖艶な雰囲気も欠かせないだろう。恋愛経験がなく、色気がないことを悩んでいる武田が、“女のひとり酒”がテーマの『ワカコ酒』で大人の魅力を磨くことができるか。ドラマの中で、彼女がどんな“ほろ酔い”の表情を見せてくれるかにも注目したい。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)