AVが誕生して約30年。あまたの女優が登場しては去り、さまざまな企画が作り出されてきた。その中でも2000年代に入った頃にジャンルとして確立された痴女モノは、各メーカーから名物シリーズが生まれ、男優を淫技(エロテク)で圧倒する痴女系AV女優たちが活躍している。
痴女の淫技といえば、手コキ、フェラ、絶妙な腰使いと締め付けなど、フェロモンボディを駆使したものがあるが、もっともAVによって進化したのが“淫語”だ。『チ○ポ』や『マ◯コ』といった即物的なものからはじまり、それらを繰り返してテンションを上げていく「連呼式」、変幻自在に卑猥な言葉をあやつる「技巧派」へと淫語は進化してきた。タイプは女優に監督や男優が強引に言わせる「M的な淫語」と、逆に男を卑猥な言葉で責める「S的な淫語」に分かれ、優しい口調とは裏腹に卑猥な「敬語や丁寧系」、主観映像作品で多用される「語りかけ系」などテクニックは多様だ。
淫語を歴史的に見れば、1980年代後半からあったのだが、レンタルショップを中心に流通していたメーカー作品はビデ倫の規制により「ピー音」で消されてしまっていた。そこにインディー系と呼ばれる自主規制のセルビデオが登場し、『チ○ポ』や『マ◯コ』などの淫語をAVに開放したのだ。
それでは、“淫語開放”後の作品とAV女優について振り返ってみよう。
【淫語系AV作品の系譜】
淫語系AVの先駆者的な存在は、1994年にリリース開始したアロマ企画の『憎いほど男殺し』シリーズだろう。男をオモチャのように犯してしまうプレイが淫語ファンに人気で、なかでも風俗界で言葉責めの教祖と呼ばれていた南智子を起用したシリーズ第7弾『憎いほど男殺しVII』は今でも語り草になるほど。裸になってカラミをするのは共演の坂口華奈(さかぐち・かな)だけではあるものの、目隠しされた男たちが途切れることなく言葉責めされ、チ○ポ・玉袋・乳首などを同時責めしながらのW手コキで、女性のような悶え声を漏らしながらイカされてしまう姿は衝撃的だった。
また、同メーカーが2002年にリリース開始した『淫語娘』シリーズは、パッケージの裏面に“本編で女優が喋っている淫語”がビッシリと書き出され、その文字だけで淫語ファンは大興奮。『憎いほど男殺し』シリーズとともに、定価8000円と現在のセルビデオに比べるとかなり高価な作品だったが、マニアに支持される人気シリーズとして成長した。
カメラ目線で卑猥な言葉を囁きながら射精させる『手コキ』の手法を使う、ソフト・オン・デマンドから2001年にリリース開始された『オナニーのお手伝いしてあげる』シリーズは、清純そうな美少女系AV女優にも淫語を喋らせることで、淫語の裾野を広げていった功績がある。この手法は同メーカーだけでなく、各大手単体系メーカーでも使われ、オナニーサポート作品のメインコーナーとしてお馴染みだ。