そんなせいじ社長の過去を初めて耳にした、アーマーガールズの黒木ひな子(18)は、「社長はすごい人でイイ人だと思ってたんですけど、今、すごい壮絶な人生を歩んできたんだっていう話を聞いてこれからもついていきたいなと思いました」と改めて尊敬の眼差しを向けていた。
番組で詳細は語られなかったが、せいじ社長が成功したビジネスというのは、ホストクラブ「Club ACQUA」のことだろう。関西最大規模のホストクラブで、2005年には、東京にも店舗をオープンし、月商は2億円。80人のホストを連れて沖縄旅行に行くほどの盛況ぶりだったという。『スーパーテレビ情報最前線』(日本テレビ系)の“実録!ホストの花道No.1の色男軍団”というコーナーで何度も紹介され、楓十座などの名物ホストを生み出した実績は有名だ。
いちホストクラブを関西最大規模にするだけでもせいじ社長の辣腕ぶりには脱帽だが、彼はさらに他のホストクラブの追随を許さない仕掛けを打った。なんと、せいじ社長を含むホスト8人で『AcQuA-E.P.』というビジュアルバンドを組みデビューしたのだ。しかも一発限りの企画モノではなく、5枚のシングルをリリースするという本格的な活動のもの。その中の『Re:dear…』という曲は、作詞を飯島愛、作曲を黒夢の清春が手掛けるという、ホストの曲とは思えないほど豪華なものだった。2008年に活動休止を発表したが、パワーアップして必ず再開するとの約束をファンと交わしている。
売れないビジュアル系バンドがホストになるというパターンは多かったが、ホストがビジュアル系バンドになるというオンリーワンを実行したせいじ社長。言うは易く行うは難しとのことわざがあるが、その道程は生半可なものではなかっただろう。もちろんアイドルグループを育てるのも厳しい道だが、これからは貪欲に金を求めたホスト時代の苦い過去を糧に、ぜひ『仮面女子』を最高のアイドルに育てることに尽力してもらいたい。
(文=郷田ゴー)
●郷田ゴー(ごうだ・ごー)
職業:ルポライター。恋愛研究家。
裏モノJAPAN、週刊プレイボーイ、週刊SPA!等に原稿執筆。
『5時に夢中!』(TOKYO MX)に多数出演。
過去に吉本興業で売れない芸人をやっていたことも…。
著書『今さら聞けない本当の恋愛入門』(宝島SUGOI文庫)
『実録! 美女ナンパ突撃ルポ やってみたらこうだった』(宝島SUGOI文庫)