「盲導犬制度」は虐待か? デヴィ夫人、フィフィ、杉本彩ら参戦で芸能界でも議論が巻き起こる


 一部報道やSNSなどで発生した「虐待まがいのほえない訓練をされている」とのウワサ話が一人歩きし、それが前述の盲導犬制度そのものへの反対意見につながってしまったようだ。単なるネット上の騒ぎだけならまだしも、盲導犬団体などに「動物虐待だ!」「理不尽な訓練をやめろ」との苦情電話が相次いでいるといい、あらぬ偏見に結びついてしまう危険性も出てきている。

 また、ビートたけしが論じた「盲導犬は酷使されて寿命が短くなる」という説についても、盲導犬関係者らによる研究調査で「科学的根拠がない」と否定されている。その調査によると、07年ごろに447例の盲導犬の死亡年齢を調べたところ、そのうちラブラドールレトリバーの平均寿命は13歳3カ月だった。同種の一般的な平均寿命は10~13歳といわれ、むしろ家庭犬よりも盲導犬の方が多少ながら長生きしている傾向すらあるという。どうやら、こちらも「盲導犬の訓練や仕事は過酷だから寿命が短いに違いない」というイメージから生まれた誤解だったようだ。

 今回のような衝撃的な事件でもなければ盲導犬制度になかなか光が当たらず、それゆえに同じ動物を愛する人々の間で「盲導犬が可哀想だ」との誤解が生み出されたというのは皮肉だ。これを教訓に世間の理解が深まり、障害者や盲導犬にとって暮らしやすい環境が整えられることを祈りたい。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

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