ちなみに、その医院での検査料は「エイズ、梅毒、淋病、クラミジア、トリコモナスなどの検査で、保険を使って1万2000円」(Sさん)とのこと。
そうした「風俗嬢御用達」の医療機関には、しばしば名物医師がいるケースが少なくないという。たとえば、「60代後半くらいの老医師。とにかく話好きで、検査や診察が終わっても、いつまでも話している」(池袋)、「60代。居眠りばかりしている。この前は、採血の途中で居眠りをはじめた」(池袋)など。また、医師そのものではなく「来院するのが荒っぽい女性が多い。彼氏と来院して2人とも陽性。たちまち診察室で『お前から移された!』と互いに殴り合い」(都内某所)というケースもあるらしい。
さて、大学病院の婦人科の先生は、変わってはいるものの一本筋が通った人物だという。医科大学の先生というと、権力欲と出世欲の権化のような人物を連想するのだが、その口癖は「医者は病気を見るのが仕事」。そして、会議が嫌いで組織が嫌い。看護師さんが「先生、大学から電話です」と言っても、「いないと言え」。そして「どうせまた会議だろう。つまらん」。
そんな調子なので、出世の話もまるでないらしい。しかし、医者としての腕は確かで、風俗の女性たちにも実に親身に対応してくれるという。そのため、彼女たちからの信頼は抜群だそうである。
(文=橋本玉泉)