ヤリマン美人と不細工処女!! あなたならどちらを選びますか?

主人公が北海道の大学で出会った美少女はとんでもないヤリマンで、ポイ捨てさ
れる有様だけどいつでもセックスOK。一方処女でぶっきらぼうな同期の子は、
付き合っていないのにセックスで満たし合ってしまうけど受け入れてはくれない。
さて、あなたならどっちを選ぶ?

「少年よ大志を抱け!」著:花見沢Q太郎/少年画報社

 最初に言っておきますが、この作品は18禁ではありません。なのでセックスシーンの量もそこまで多くないですし、性器描写もありません。

 しかし! ここに取り上げたということはですよ、分かってもらえますか。もうどうしようもなく、このマンガがエロいからです。エロシーンがそこまで多くなくてもエロいということは、もう人と人との関係性の作り方や、セックスに至るまでが性的だからにほかなりません。

 舞台は北海道。美術を学ぶために主人公日比野龍一朗は、網走よりも北のオホーツク大学という美大に通うことになります。あれ、想像していた「広大な北海道のキャンバス!」と何か違う。というかでかすぎる。大自然すぎる。さーて、どう暮らしたもんか。

 コミュニケーションが苦手で童貞な彼は、ある日2回生の如月梨帆に出会います。田舎でありながら、あかぬけていて、黒髪ロングで清楚可憐なルックス。もう一撃でハート撃ちぬかれるんです。恋だね。

 友達もできない彼は、自分から話しかける勇気なんてもちろんないんですが、ある日ふっとしたきっかけで如月梨帆の方から先輩として声をかけてくれます。そのまま「うちのテレビおかしいの、ちょっと見てくれない?」と部屋に彼をあげ、そのままセックスになだれ込みます。理由なんてありません、如月梨帆の方から迫ってきただけです。童貞の彼がこれを拒むはずもなく、こう考えます。「大人ってきっとこういう感じなんだ」。

 しかしここから急転直下。セックス終了後に如月梨帆は言います。「あっ、ごめーん日比野くん、彼氏帰って来ちゃった」。

 えっ!?

 そうなのです。清楚可憐を絵に描いたような彼女は、とんでもないヤリマンだったのです。

 たまたま彼が毒牙にかかったというわけではなく、普段から学内でウワサされるほどの有名な男喰い。どこまでが真実かは分からないものの、彼自体がセックスした後に彼氏にばれないように、身ぐるみはがされて窓から放り投げられるんですもの。まだ証拠は出てきませんが、あながち間違いじゃない。童貞の彼は嘔吐するほど意気消沈します。

 そんな姿を見ていた、寮の下の階に住む同期の女の子麻生朋絵。如月が超絶美人のマドンナだとしたら、彼女は性格が悪くぶっきらぼうで、飾りっけもなく口も悪い上にルックスもそこまでいいわけじゃない。まあもっとも花見沢Q太郎氏の絵がかわいいのでおもいっきりキュートではあるんですが、一応不細工だという設定。

 あんまりにも捨て猫みたいに泣き震える彼を、麻生朋絵はなんとなく抱きしめ、キスし、そして流れのままにセックスしてしまいます。彼女、実は処女。まさに行き当たりばったりの気分での行為。ついさど勢いでセックスをしておいてなんですが、彼は「もっと処女を大事にしろよ!」と言います。それに対して「捨てたかったし。如月みたいにモテないし」とふてくされるのが麻生。情には流されるけど、ものすごく自分に自信のない子です。

 まさかの、童貞が一晩でふたりとセックス。

 片方は超絶美人で気も優しいし付き合いやすい! ただしヤリマンで、誰の心の壁をも越えて行ってしまうくらいにフリーダム。いつでもセックスOKだよというくらいにゆるいです。けれども、常時ネトラレ展開になるので鬱にさせられます。

 もう片方は、不細工で面倒くさいし、コミュニケーションが苦手。主人公と似ていて友達がいない。自信がなくて壁を作ってしまうし、人との距離がうまく測れない処女ですが、非常に誠実で一緒にいるときの安心感が尋常ではありません。

 さてどっちを選ぶ? と言われたらまあ普通は麻生を選びますわな、付き合っていくなら。けれども麻生は拒絶します。私は彼女じゃないと。体は日比野だけと重ねあうけど、それはキモチイイからであって「彼ができないからしょうがないじゃん」。理由はない。

 じゃあ開き直って「セフレ」の位置に落ち着いてでも、美人で清楚な如月についていこうか……。性的には楽しいけど、心はちっとも満たされず、それどころかすごい勢いで消耗していきます。

 全く真逆な二人。清楚な姿でビッチな如月は、まるでAVを見ているようです。どこまでが本当なのか1mmも分からない。なのにどんどん入り込もうとしてくる。

 一方で何もかもを素直にさらけ出す麻生は、ものすごく一緒にいて幸せな気分になれる。けれども心の壁が厚いから入ろうとすると拒絶される。

 こんな二人の間でセックスを繰り返す状態がなぜエロいかというと、3人とも「性」そのものの快楽は欲していて、そこにさらに心地よくなる「心」が行ったりきたりするからなんです。全く心の伴わない如月とのセックスは、ひたすら性の快楽に貪欲で動物的。近づいたり離れたりする麻生とのセックスはとてもうまいとは言えないけれども、何か触れたような感覚がキモチイイ。

 そんなおいしい話ないない、といいたいところですが、読んでいるとこういう生活あるんじゃないかって思うくらいに生活感あふれているのもたまりません。

 学生が、生活感あふれる部屋でセックスしてしまう、というシチュエーションが好きな人にはがっつりオススメしたい一冊です。セックスシーンが少ないけどエロマンガレベルでエロティックなのは、付き合っていない二人がさっきセックスした部屋に一緒にいる、という状態が非常に性的だからなんです。

(文=たまごまご/たまごまごごはん

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