赤面描写と、体を求める少女の愛らしさがたまらない、ときめきな一品。
ホムンクルス著『はじらいブレイク』
『はじらいブレイク』は、エロマンガでタイトルがいかに大事なのかを痛感する一冊です。この名前でピンと来たら、買って損なし。
ホムンクルス氏初の単行本となる今作ですが、とても処女作とは思えないくらいの抜群の安定感。初心者から熟練のエロマンガ好きまで誰もに「純愛ラブラブ濃厚エッチ物が読みたいんですが……」と言われたら、迷わず差し出すことができる一冊になっています。
なぜここまで絶賛しお薦めするのかというと、少女たちの「恥じらい」を徹底して描き上げ、その延長線上にあるえっちシーンがもう、ときめきであふれかえっているからなのです。恥じらって、ドキドキして、顔を赤らめつつも性に積極的な女の子を見たくないですか?
視点は基本的に男性目線。男側もぴゅあぴゅあハートなんですよ、女の子とえっちしたいからと言って土下座しちゃうような。
表題作「はじらいブレイク」は少年少女の初体験を描いた作品なんですが、女の子が超奥手で最初のうちは「だ、だめっ!絶対イヤ!」と完全拒絶。それでも少年は「一生のお願いですこのとおりッ!!」と土下座! ようやく、触るだけならとOKをもらいます。いやあ、男ってこういう生き物だよなあとしみじみ感じるヘタレぶり。
しかし、実際に触り始めると女の子の体にも火がついちゃうんですよ。すごい恥ずかしいし、気持ち的には「ダメっ!」なんですが、ねちっこく触られれば濡れてくるし、相手は好きな男の子だし。恥じらいメーターが振り切れつつも、性欲メーターも臨界点突破。少年も初めてなので、理性を働かせ「ごめん、ここまでにするよ……約束だし」とペッティングをやめようとするんですが、ここで「も……もう少しだけ、しても……いいよ……?」と目をそらす少女の赤面。ここです、ブレイク!!
この作品にかかわらず、ほとんどの作品が等身大の恋愛関係を描いています。男たちがみんなヘタレなんですよ。でも、据え膳食わぬはなんとやらとは言うけれど、女の子が恥じらって警戒している状態でそうそう積極的に攻め込めない。気を使うのは紳士の証。
少女が恥じらい、男の子が近寄れず、この距離を詰めながら肌を寄せ合った瞬間に爆発するかのように性欲をあらわにするのが、この作家さんの見事さなんです。メーターを振り切った瞬間に激しく体を密着させ、動かし合う男女の描写はかなり興奮できます。
加えて読後、少女たちの赤面が脳裏に焼き付いて離れないんですよねえ。これは、短編それぞれのオチにひねりが効いているのも演出効果としてあると思います。
さて私は、キスや会話中に女の子がおちんちんを握るシーンがすごい好きなんです。目をおちんちんに向けず、握って離さないってシチュエーション。これが、突然女の子と一緒に暮らすことになったルームシェアマンガ「ホームメイト」後編や、ふられた二人がやけくそで海の近くの宿に泊まる「海に咲く」で描かれており、個人的には大満足。
恥じらい、距離を取ろうとしながらも、男性への恋愛感情や性欲が抑えきれずにブレイクし、体をぴったりくっつけてくる女の子って、本当にかわいいですね。王道ラブコメを見事にデコレーションした、上質なケーキのような作品集です。ごちそうさまでした!
(文=たまごまご/たまごまごごはん)