「以前には『テレ東は放送作家のオアシス』というニュースもありましたが、それはディレクターにとっても同じ。フジテレビなどのように、芸能プロダクションとの結びつきも強くありませんし、『ゴールデンを見据えた企画を』と求められることもない。テレビマンには『業界に入ったらこれを作ってみたい』といったような、常に心の中に留めている夢の番組というのがあります。その窓口が現在のテレビ東京なのです」(制作ディレクター)
それが受け入れられているということは、視聴者も、そういったしがらみがない純粋な企画を欲しているということでもあるだろう。もちろん、テレビ東京は台所事情もあり、とにかく「低予算」が至上課題となっているが、だからこそ知恵も生まれるのかもしれない。
先に挙げた番組は深夜に放送されていたものが多い。1990年代、フジテレビが『カノッサの屈辱』『TVブックメーカー』『文學ト云フ事』『たほいや』『地理B』といった深夜番組の盛り上がりで若者の支持を集め、全盛のきっかけを作ったように、テレビ東京がこれらの番組を足掛かりに、「民放の雄」になる日を楽しみに待ちたい。
(文=今井良介)