殺人事件に発展してしまうこともあるなど、ストーカーによる犯罪が後を絶たない。わざわざ説明するまでもないが、ストーカーとは特定の人を執拗に追跡したり、それによって相手を悩ませたり怖がらせたり、時には危害を加える人のことで、日本では1990年代に入ってから使われはじめた言葉である。その後、ストーカー規制法ができた2000年に2280件だった警察のストーカー事案認知件数は、その後1万件台で推移。12年に1万9920件と最も多くなったものの、13年はさらに1169件増え2万1089件となり、初めて2万件を超えている。
年々増え続けるストーカーの被害だが、芸能界で活躍する女性タレントたちもその例外ではない。先月29日放送の『内村とザワつく夜』(TBS系)で、過去にストーカーの被害があったことを語ったのはアイドル・タレントとして活躍中の小島瑠璃子(20)。この日の番組テーマは「本当にあった真夏に背筋が凍る話SP」。視聴者から寄せられた幽霊やお化けよりも怖い、身近な人間がストーカーとなる「背筋が凍るストーカー体験談」が紹介される中、MCの内村光良(50)の「実際にこんな体験ある人いる?」との呼びかけに小島が答えたのだ。
彼女が体験したのは 「彼氏にかかってくる奇妙な電話」。「昔、付き合ってた彼なんですけど。彼と会った瞬間に、絶対、元カノからの電話が鳴る彼だったんですよ」と切り出した。彼とのデート中、誰にも見られてないはずなのに、元カノの話になった瞬間に電話が来たりしたのだという。
「最初は、偶然が重なるなとは思ってたんですけど。だんだん、これヤバいなってなってきて、何でだろうって考えたときに、彼が元カノから時計をもらってたんですよ。その歳には合わないような高価な時計だったんで、その時計をはずすようになってから、電話がなくなったので、盗聴器かなって」
小島の体験談を聞いたスタジオは騒然。内村も「今日、怖すぎるだろ!」と驚きを隠せなかった。
以前バラエティ番組で、玄関の前にまでストーカーが来ると話していたダレノガレ明美(24)や、Twitterで「ずーっと付いてくる人がいて交番から出られない。かれこれずーっと」と投稿し、被害を語ったグラビアアイドルの杉原杏璃(32)や、この件に「あたしもさっきまでずっとつけられてました。怖いですよね」とリプライしたグラドル仲間の小松彩夏(28)など、芸能界においてもストーカー問題は“今そこにある危機”といえる切実なものだ。
また、先月24日放送の日本テレビ『あのニュースで得する人損する人』でも、60歳以上の熟年ストーカーについて特集があった。同番組では30歳の独身男性が仕事帰りによく立ち寄っていた、夫婦が営む家庭的なお店の奥さんからストーカー被害に遭ったというVTRが紹介された。
店の主人とすっかり仲良くなり、電話番号を交換した頃、仕事が忙しくて店に顔を出せない日が続くと、奥さんから「元気?」「たまには顔を出してね」「忙しいなら(男性宅の)掃除をしておこうか?」など、毎日のようにしつこく電話がくるようになったという。相手に迷惑をかけているという認識がないどころか、心配してあげてるという意識で男性に連絡を続ける奥さん。ついに男性は「迷惑です」と本音をぶつけるものの、案の定「せっかく心配してあげてるのに!」と、自分の好意を邪険にする男性に激怒。その後、男性の自宅前で待ち伏せしたりと、ストーカー行為がエスカレートするので、店の主人に相談するも「妻のことだしわからない。本人に言ってくれ」と取り付く島もなかった。結局、男性は弁護士に相談して訴えたところ、相手から音沙汰はなくなったという。
番組で紹介されたのは女性ストーカーだが、いわゆる「老人」と呼ばれる50代後半~70代後半の男性ストーカーはこの10年で3.8倍にも増加しているようだ。2010年には20代前半の女性会社員につきまとったとして、ストーカー規制法違反の疑いで82歳の老人が逮捕されている。20代女性の勤務する会社の客だったという老人は、つけ回した理由に「親切にしてもらって好意を持つようになった」などと供述したようだ。お年寄りには親切に、という優しさが結果として相手をストーカー化してしまうのも、なんとも煮え切らない話だ。
付き合いのある人が急にストーカーとなってしまう危険性は誰にでもある時代。なにかあったときには信頼できる人に相談し、決してひとりでどうにかしようと考えないことが肝要である。
(文=三坂稲史)