「前作は視聴率が全話30%超え、スペシャルドラマも映画版も大ヒットした。それをわざわざ復活させたのだから、局内では『最低でも20%以上』の視聴率が絶対条件になっている。山手線でドラマのラッピング車両を走らせるなど、巨額の宣伝費が掛けられるだけに失敗したら目も当てられない。しかし、木村が平均20%超えを果たしたのは5年前の『MR.BRAIN』(TBS系)が最後。目標を達成できるかどうかは微妙で、木村が所属するジャニーズ事務所は失敗したときのためにヒロイン役の北川景子を“戦犯”に仕立てる準備をしているともいわれている。大ヒットを義務付けられながら、関係者の誰もが不安を抱えているのが正直なところです」(テレビ局関係者)
“月9ブランド”の威光もなくなり、最近はヒット作に乏しい。前クールに放送された『極悪がんぼ』(フジテレビ系)に至っては平均視聴率9.9%と歴史的大惨敗。月9枠史上最低の記録となり、初の平均ヒト桁台をマークしてしまった。頼みの綱は前作のファンだが、今作では松や大塚寧々、阿部寛ら前作のメインキャストの大半が出演せず、新キャストを受け入れてもらえるかどうかは未知数だ。
これだけ不安要素が多いにもかかわらず、なぜフジは『HERO』に社運を賭けるかのような暴走をしているのか。
「昨年フジの社長に就任した亀山千広氏の肝入り企画だからですよ。亀山社長は就任早々、長寿番組『笑っていいとも!』の終了を決断するなど豪腕を振るい、社内は“粛清”に戦々恐々。誰も口を出せない状況です。そんな亀山社長が映画事業局時代に手がけたのが『HERO』の映画版だった。視聴率回復の旗印として、亀山社長は過去の栄光のひとつである『HERO』の復活を計画。続編を嫌がる木村やジャニーズ側に対し、今夏のイベント『お台場新大陸』やフジ関連企業が強力にドラマをバックアップすることを約束し、強引に口説き落とした。フジだけでなく、関連企業やジャニーズ事務所なども巻き込んだ社長の独断といえます。ですから、不安要素があってもフジ社員は社長の暴走に従うしかない」(週刊誌記者)
亀山社長は、6月27日付でフジの全社員約1500人の3分の2に当たる1000人の人事異動を断行したばかり。ヒットすれば万々歳で丸く収まるが、失敗して亀山社長が自身の非を認めず、責任転嫁するようなことがあれば更なる大粛清の可能性もある。それは木村にとっても同じで「もうキムタクでは数字が取れない」という烙印をハッキリ押されれば俳優生命にかかわってくる。
ドラマの内容はさておいても、その行く末がどうなるかは面白そうな気配。良くも悪くも話題にしたくなるという意味では、さすがキムタクといったところか。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)