ロリータファッションが好きで、普段から「甘ロリ」な服装をしており、自らオタクであると自称していた沙也加。番組ではそんな彼女に密着したVTRが放送されていたが、そこに映っていたのは、大物芸能人の娘という華やかなイメージとはかけ離れたオタクな姿だった。
たとえば沙也加は、よく買い物に行く場所として「アニメイト」を挙げる。そして、店内に入るなり、「アニメの匂いがする」と言い放つ彼女のテンションは明らかに高く、目当てのアイテムやグッズを見つけると興奮を隠せない様子だった。好きな作品について話すときは異様に早口になるなど、オタク特有ともいえる特徴を披露した。
その後、沙也加が「いつもと同じ」という食事先に向かうが、そこは焼肉屋。そう、“ひとり焼肉”だ。普段は「もてなされている感じがしすぎるから、通路側に座る」と説明する彼女は、まさに1人が得意なオタクそのもの。さらに、「友達は3人か4人くらい」で「私、閉じてるからなぁ~」と自虐的に笑う姿もスターとはかけ離れたものだった。
芸能活動を休止していた時期には、声優の専門学校に通っていたほどアニメやゲームが大好きで、「声優になりたかった」と語っていた沙也加。そこで学んだスキルが今回の映画で見事に発揮されたといえる。押しも押されもしない2世スターとして華やかにデビューしながら、突然芸能活動を休止したのも、本来自分の中にあるオタク気質と、周囲からの期待や眼差しに、違和感を覚えたからではないだろうか。しかし声優としての実力が認められた今の彼女にとって、その本来のオタク気質は大きな武器になるだろう。今後はスターでもなく2世でもない、女優、タレント、声優をこなす神田沙也加として活躍の場を広げるに違いない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)