「色の白いは七難隠す」ということわざもあるが、少なくともこれまでのAVアイドル(単体女優)界では“色白&美白”は長らく金科玉条のひとつだったといっても過言ではないだろう。いや、正確に言えば、ついこの前までは…。
1990年代半ば以降、しばらく続いた“ギャル全盛期”に呼応して、AV界でも企画作品にいわゆる“黒ギャル”ジャンルが登場してきているのは、ご承知の通り。そして、これはあくまでも企画AVの一ジャンルであったはずだが、最近では単体女優の日焼け肌ボディを強調する作品がチラホラ見られるようになり、一定の人気を博している。まさに、時代の移り変わりを実感する次第である。今回紹介する作品は、そんな単体“日焼け肌ボディ”女優の先駆けともいえる小倉奈々ちゃんの『煩悩開放 どこでも欲しがるリアルSEX 小倉奈々』(マックス・エー)だ。
大海原を望む南国を舞台に、身も心も開放しきった奈々ちゃんが、陽光の降りそそぐビーチで野外ファックを繰り広げるという、痛快な1本。ビキニの日焼け跡が残る美巨乳ボディを惜し気もなくさらけ出し、エメラルドグリーンの海とスカイブルーをバックに、白く輝く砂浜の上で展開するド迫力の野外プレイが股間を直撃! 90cmのやわらか美巨乳をプリンプリン揺らしながらイキまくる姿が、まさに体育会系のハードプレイなのだ。
この奈々ちゃんを先駆者として、イメチェンを図った吉沢明歩ちゃんが『日焼けあと×高級泡姫 吉沢明歩』(MAXING)で、神咲詩織ちゃんが『極感の日焼けエステサロンへようこそ』(ケイ・エム・プロデュース)で、それぞれ単体“日焼け肌”女優に挑戦して話題を呼んだことも記憶に新しい。
そこで、改めて“日焼け肌”の魅力を考えてみると、思い当たるのが、00年代にビーチバレーで活躍した“ビーチの妖精”こと浅尾美和選手の存在だ。健康的な日焼け肌ボディと愛らしい笑顔でたちまちスポーツ選手の枠を超える人気を得た浅尾選手は、ひょっとすると日本人女性初の「日焼け肌アイドル」かもしれない。だとすれば、この時期すでに「単体“日焼け肌”女優」誕生の下準備ができていたという見方もできるだろう。実際の誕生までにはけっこうな時を要したが…。
こんなことを考えていると、一昔前にある新人単体女優をインタビューしたときのことを思い出す。その彼女、デビュー前はとにかくボディボードに夢中で暇さえあれば海に出る生活を送っていたらしい。しかし、やはりAVデビューしてからは事務所から海に行くことを禁じられていたようで、インタビュー中も募る不満を漏らしていたのだ。筆者はそれを、記事にはできないウラ話として聞いていた。それからしばらく経って、彼女の最新作の撮影現場を取材する機会があったのだが、なんとそのときの彼女のボディには隠しようのない日焼け跡があった(ビキニ焼けではなく、腕と脚だけのウエットスーツ焼けだったが)。だから、撮影中は腕と脚の焼けた部分をメイクで隠してごまかしていた。
まさか、海に行く許可が下りたのだろうか? と驚き、休憩時間にそれとなく彼女に日焼け跡について質問してみたところ…。
「もう、引退が決まっているんです。海に行っても何も言われませんよ」
との返事。なるほど…。今から10年以上前、「単体女優」の活躍期間が1~2年だった時代の話である。加えて言うと、この彼女は今はなき「擬似本番女優」でもあった。
…と、日焼け肌女優の分析をするハズが思わぬ思い出話に浸ってしまったが、日焼けした肌には、かつての楽しかった夏を振り返ってノスタルジーに浸るという作用もありそうだ。って、リアルな季節は梅雨寸前のジメッとした時期なのだが(苦笑)。
(文=宍戸ペダル)
宍戸ペダル(ししど・ぺだる)
前世紀からAVばかり見ているエロライター。我が人生の真夏は終わってしまったのか、これからもう一度やってくるのか、それが問題だ! 永遠の夏休みは御免だけど(苦笑)。