一部では、小保方さんが一般人であることを理由に批判する声があったが、それは前例がなかったわけではない。過去には同番組の前身『めちゃ×2モテたいッ!』(同)時代に、岡村隆史がオウム事件で有名になった横山昭二弁護士(当時)をパロディ化。現在は引退中の山本圭一が『めちゃイケ』で奈良の“騒音おばさん”を模したキャラクターでコントをやったこともあった。それらのコントと比べて「なぜ小保方氏だけイジってはダメなのか」という声も上がっている。
「理化学研究所から『不正があった』と認定された小保方氏ですが、4月30日に理研に質問状を提出し、攻勢に転じています。まだ何とも言えないデリケートな時期で本人は『長期入院中』ということになっていますから、精神を追いこむような報道被害を危惧する声が上がっている。そんな中でパロディコントを放送しようとした“間の悪さ”がすべて。感情的になる人も多い問題ですから、まだ触れるべきではなかった。何でもかんでもケチをつける人たちも問題ですが、局側の題材選びのセンスも決して褒められたものではありません」(芸能関係者)
ネット炎上で局側が腰くだけになってしまったことに対する批判もある。せっかく収録までしたコントをお蔵入りにされてしまったら、演者もたまったものではないだろうが…。
「昨今はちょっとしたことで簡単にネットが炎上する。それだけなら局も相手にしなければいいだけですが、それがメディアに取り上げられるとスポンサーがイメージを気にするようになり、結果的に現場に圧力が掛かってしまうんです。あくまで民放はスポンサーありきの仕組み。場合によっては、スポンサー“降板”騒動が話題になったドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系)のように骨のある対応をすることもありますが、多くのテレビマンは事なかれ主義。簡単にスポンサーの意向に折れてしまう」(前同)
小保方氏を題材に選んだことの是非はともかく、昨今の「テレビが面白くなくなった」という風潮の根本的な原因を垣間見るかのような構図だ。近頃は裏番組の『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)や『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(テレビ東京系)に視聴率で惨敗することが珍しくなくなった『めちゃイケ』だが、この守りの姿勢はさらなる凋落を招きかねないところだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)