とはいえ、実際彼らが映画を撮るかどうかはまったく次元の違う問題でもある。映画を撮るにはそれだけのお金を集めなければならないし、そこには回収できる見込みというものがなければいけない。今回のプレゼン大会では、板倉が『その仕事、第一希望だったんですか?』というドキュメンタリー映画の企画を発表して優勝していたが、彼が来年の沖縄国際映画祭で、その作品を発表するには多くの壁を乗り越えなければいけないのは言うまでもない。
別段、芸人が映画を撮ってはいけないと言うつもりはないが、若手中堅芸人の彼らが映画を撮ろうと思っていることにはどこか違和感を覚える。それよりももっとやるべきことがあるのではないかという気がするのだ。だが、彼らのような芸人が、もはや映画でも撮らなければ注目を浴びないと思い込んでしまうのも理解できる。それは、「芸人としてテレビに呼ばれないが監督としてなら呼んでもらえる」という品川の言葉が如実に表している。それだけ今の芸人たちの争いは熾烈なのだろう。何がどう転ぶかわからない世の中で、次の一手を模索する芸人たち。いずれとんでもない映画監督が生まれても何らおかしくはない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)